「性格って変わりにくい」というのが心理学の定説で、人間のパーソナリティは生涯を通してかなり固定されてるようです。
だからと言って性格が全く不変なわけでもなく、歳を取ると性格が丸くなりやすいのは有名です(ソース)。
基本は変わりにくいですが、ある程度までなら変化もあり得るわけです(ソース)。
2020年に出た研究(ソース)は、「人生で目指すゴールに沿って人間の性格は変わる」という結果になっています。
これは500人ほどの男女を20年間追いかけた観察研究で、全員が大学生のころから調査を始めています。
それぞれのビッグファイブを定期的にチェックし、20年間に参加者がどんな目標をもちながら、人生を過ごしてきたかを調べました。
ここでいう「人生目標」は、「出世したい」とか「裕福になりたい」「家族を持たい」「政治家になりたい」など、あらゆる個人のゴールを意味しています。
その結論は、研究チームによると、
” この研究は、20年の人生において、個人の性格と人生の目標がどう関連するのかを調べるユニークな機会となった。
結果としては、その人の性格が価値ある人生目標を作り出し、その目標を追求することで性格が変化していくことがわかった。”
となっています。
いくつか例を挙げると、
- 協調性が高い人ほど「みんなを幸せにしたい」とか「社会に貢献する」という人間関係に関するゴールを設定する傾向があり、そのゴールを追求することによりさらに協調性が高くなっていく
- 誠実性が高い人ほど「貯金を貯める」とか「仲の良い家族を作る」というような経済や家族に関するゴールを設定する傾向があり、そのゴールを追求することによりさらに誠実性が高くなっていく
みたいな感じです。
多くの人は生まれつきの性格に沿ったゴールを決め、その目標に向かうことでさらに元々の性格を強化していくのではないかということですね。
さらに研究チームは、
” かつてアルバート・アインシュタインは、「幸せに暮らしたいなら、人や物ではなく、自分の人生を目標に結びつけなさい」と言った。
実際、アインシュタインの創造的で好奇心旺盛な傾向は、彼の科学的な目標だけでなく、バイオリンを弾くことへの情熱のような、より美的な目標に目を向けさせた可能性が高い。”
と言っています。
アインシュタインは、好奇心旺盛なことで有名ですが、それは生まれつきの性格が人生の中でさらに強くなったのが大きいんじゃないかということですね。
ちなみに、この研究から得られた他のことは、
- 平均すると、18歳から40歳までの間に、協調性と誠実性が増加する人が多い
- 年齢とともに神経症傾向が減少する人も多い
- 外向性(社交性)と開放性(好奇心)が変化する人は意外と少ない
- 年齢を重ねるにつれて、目標を持たなくなっていく人が多い
という傾向も確認されています。
歳をとって目標の重要性が低くなるのは、中年になると個人的な嗜好と限界を認識しやすいため、多くの人が「この目的は自分に関係がない」と思い始めるからだそうです。
というわけで、自分の性格を変えてみたいと思われる方は、
- まずは自身のビッグファイブをチェックする
- そのビッグファイブに適した目標を設定する
- その目標に向かって努力する
みたいなステップを踏むのがいいのではないでしょうか。