歳を取ると代謝が落ちて昔より太りやすいは本当?!

歳を取ると代謝が落ちる!」ということは良く聞く話です。

若い時は何もしなくても体脂肪が燃えるから食べても太らないけれど、歳を取ると摂取カロリーを消費してくれなくなり、結果として太りやすくなるのではないか、という考え方です。

2021年に出た研究(ソース)では、「人間の総エネルギー消費量は年齢によってどこまで変わるのか?」という点を調べています。

具体的には、

  • 29カ国の6421人(64%が女性)を調査し、自由に暮らしている人の1日の総エネルギー消費量を分析
  • 参加者の年齢は、生後1週間から95歳までのほぼ全寿命

ということになっています。

この研究は、これまでに行われた人間のエネルギー消費に関する調査で最大規模で、類似のデータのなかではもっとも信頼できる内容になっていると考えられます。

参加者の1日の総エネルギー消費量を測定するためには二重標識水(体内での標識の稀釈速度からエネルギー代謝量を測定)を使っていて、この点でも精度が高めです。

分析の結果は、

  • 筋肉量と脂肪量を調整すると、総エネルギー消費量は男女ともに生涯を通じてほぼ変わらない
  • ただし、筋肉の量が多いほどエネルギー消費量は多くなり、成人のエネルギー消費量は60歳くらいまではほぼ一定で、それ以降は減少に転じる傾向が見られる。このパターンは男性でも女性でも変わらないが、それぞれの平均値の絶対値は男性のほうが高い(男性の方が平均して筋肉量が多いから)
  • 筋肉の量は成人期に入ると一定になり、中年から老年期にかけてゆっくり減っていく。体脂肪率は中年期にピークを迎え、その後は一定の傾向を示す(老年期になると筋肉量と脂肪量がまとめて減っていくため、体脂肪率はほぼ同じになる)
  • 加速度計による運動量の研究によれば、中年から老年にかけて身体活動は着実に減る。歳を取ってエネルギー消費量が減るのは、このせいかもしれない

となっています。

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