頭が回らない脳が働かないブレインフォッグって何?

ブレインフォッグというのは、名前のとおり頭がぼんやりしたり、一日中眠かったり、考えがまとまらなかったりといった問題が起きる現象です。

そのほかの症状として、

  • 思考のスピード低下
  • 思考の混乱
  • 覚醒度の低下
  • 情報処理がうまくできなくなる
  • コミュニケーションがうまくできなくなる

などがあります。

全体的には認知に障害が起きたような状態で、脳に満足な血が流れてなかったり、ストレスが長引いたときに起こることが多いです。

当然、生活の質には大きな悪影響があって、ほっといたら仕事がなにも手につかない状態になったりします。

ブレインフォッグが困るのは、基本的な認知の働きが低下するだけでなく、それに続く二次的な問題を引き起こすこともあるところです。

例えば、

  1. スキルと自信の低下:ある研究(ソース)によると、認知の障害が起きるとメンタルが疲れてしまうため、それによってエラーやミスを監視する能力が低下します。さらには、あらゆる活動への準備もできなくなり、最終的にはパフォーマンスが下がって、自信が低下していきます。
  2. モチベーションの低下:精神疲労のレビュー論文(ソース)によると、精神的な疲労は、タスクを行うためのエネルギーコストが、期待される報酬を上回ったときに起きます。ですが、最初から精神的な疲労を感じていると、タスクのエネルギーコストがが以前よりも大きく感じられて、結果としてモチベーションが下がり、簡単にできることしかしなくなります。

などがあります。

ブレインフォッグの原因としては、これには新型コロナのような特定の病気、生活習慣、心理的な問題などが指摘されています。

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野菜は生それとも調理した方が健康にいいの?!

野菜は生で食べるべきか?それとも料理して食べるべきか?」という問題は前からあって、「生食のほうが栄養価が高い」って主張がある一方で、「調理したほうが逆に栄養が吸収される」みたいな主張もあります。

2022年に「生の野菜か調理した野菜かが心臓病にどう影響を与えるのか」問題を調べたデータ(ソース)が発表されていて、参考になるかと思います。

これは英国バイオバンクの健康データを使ったもので、特に心疾患がない男女39万9586人を対象にしています。参加者の平均年齢は約56歳、約55%が女性で、

  • 2006年から2010年にかけて、食事の内容、ライフスタイル、健康状態などを調べ、さらに身体計測と血液、尿、唾液の採取も行う
  • 食事に関するアンケートをもとに、それぞれが「1日に平均でどれぐらいのサラダなどの生野菜を食べるか?」や「1日に平均でどれぐらい調理済みの野菜を食べるか?」を判断する
  • 野菜の摂取量を4段階に分類し、生野菜と調理済み野菜それぞれの摂取量をベースに、みんなの健康レベルと比較する

という感じの研究です。

ここでいう「健康レベル」は、おもに心臓や血管の病気による入院または死亡をベースに判断していて、そのうえで数字に影響しそうな要素をコントロールしてあります。

平均の追跡期間は約12年で、分析したら以下のように結果になっています。

いずれも、野菜をたくさん食べる人と、ほとんど食べない人を比べた場合の数値になっております。

  • 心疾患の発症率
    • 生野菜をたくさん食べた場合の発症リスクの低下率=12〜21%
    • 調理済み野菜をたくさん食べた場合の発症リスクの低率=0〜23%
  • 心疾患による死亡率
    • 生野菜をたくさん食べた場合の発症リスクの低下率=15〜26%
    • 調理済み野菜をたくさん食べた場合の発症リスクの低率=4〜33%

なんだか数字にだいぶ幅がありますけど、これは「どの要素でデータを調整するか?」によって、結果が大きく変わってくるのが原因です。

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コーヒーと緑茶はどちらが健康的効果があるの?

コーヒーと緑茶にはどちらもすばらしい健康的なメリットがありますが、どちらがより健康的なのでしょうか?

2021年に出たデータ(ソース)によると、「コーヒーとお茶のどちらが脳に良いか」についての研究で、脳卒中や認知症など、おもに脳にかかわるメリットについて調べています。

これは36万5682人の男女を対象にした研究で、

  • コーヒーまたはお茶をよく飲む人(50歳から74歳)を、中央値で11.4年にわたって追跡したもの。コーヒーおよびお茶の摂取量は、ベースライン時に自己申告された
  • 参加者がどれぐらい脳卒中および認知症にかかったかを調べる

となっています。

それを踏まえて、年齢、性別、喫煙状況、運動量などを調整したところ、結果は以下のようになりました。

調査の期間中に確認された脳卒中は1万53件(対象者の2.8%)、認知症は5079件(1.4%)

  • 脳卒中のリスク

    • コーヒーを1日0.5〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが8%から12%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが16%ぐらい低下した
  •  虚血性脳卒中のリスク

    • コーヒーを1日0.5〜3杯飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
  • 認知症のリスク

    • コーヒーを1日2〜3杯飲む人は、 認知症のリスクが7%ぐらい低下した
    • お茶を1日4杯以上飲む人は、 認知症のリスクが11%ぐらい低下した
  • 血管性痴呆症のリスク

    • コーヒーを1日4杯以上飲む人は、血管性痴呆症のリスクが22%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 血管性痴呆症のリスクが25%から26%ぐらい低下した

ということで、お茶とコーヒーはどちらも脳卒中リスクを下げるし、脳機能が下がるのも防いでくれるという結果でした。

さらに特筆すべき事項として、

  • コーヒーだけ、またはお茶だけを飲む場合と比較して、両方を飲む場合は、脳卒中(-11%)、虚血性脳卒中(-11%)、認知症(-8%)、血管性認知症(-18%)のリスクがさらに低くなる
  • コーヒーにせよお茶にせよ、どちらも1日4杯以上を飲んだとしても、脳にあたえるメリットが増えるわけではない

点があげられています。

コーヒーとお茶は両方とも飲んだらメリットはさらに大きくなる」という結論になりそうです。

ですが、この研究にはいくつかの限界があって、

  • コーヒーおよびお茶の摂取量は自己申告によるものなので、1日にどれぐらい飲めばいいのかについては不確実なところが多い。このタイプの研究では、だいたい自己申告の摂取量にはずれがある
  • コーヒーとお茶の摂取量は、研究のスタート時にだけチェックしていて、その後の人生で摂取量が変わったかどうかは考慮されていない
  • あくまでも観察研究なので、ここで確認された結果は、睡眠習慣や遺伝的素因など、調整されていない要素の影響を受けている可能性はある

という点も留意しておく必要があります。

とは言っても、以上の限界をふまえてもコーヒーやお茶が脳に良いのは間違いなく、その理由としては、

  • コーヒーに含まれる、クロロゲン酸、トリゴネリン、ジテルペン類(特にカフェストルとカフエオール)、メラノイジンなどの効果が大きい
  • お茶に含まれるカテキン類(特にEGCG)の効果が大きい

という点になります。

いずれの成分も、一酸化窒素の生成に役立ち、そのおかげで脳卒中や認知症のリスクが下がると考えられています。

また、コーヒーとお茶の両方を対象とした数少ない研究(ソース)では、どちらか片方を飲むよりも両方を飲んだほうが全死亡リスクが減るという結論もありますから、ぜひともダブルで摂取していきたいところですね。

ボランティアをすると心身ともにメリットがある!

お金は人のために使うと幸福になるという記事を以前書きましたが、ボランティアを行うと心身ともにメリットがあるというデータがあります。

お金は人のために使うと幸せになれる!

どうやら他人のために働くことでストレスなどが改善し、健康状態がよくなるようです。

ハーバード大学から2020年に出たデータ(ソース)は、「ボランティア活動にはどんな良いことがあるのか?」という点を調べていて興味深いです。

これはアメリカに住む平均年齢66歳の男女約1万3000人を対象にした研究で、HRS(ソース)という有名な健康調査からランダムに選ばれています。

調査期間は2010年から2016年までの4年間で、2つのグループに分けて追跡しています。

結論をざっくりまとめると、

年間100時間ぐらい、週に2時間程度のボランティアをした50歳以上の参加者は、メンタルと身体がどちらも健康な傾向があった

だそうです。

観察研究なので明確には言えないですが、やはりボランティアは心身に良いのでは?と思わせる結果になってます。

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