投資をしている時に意図せず下がってしまい自分が損をしたとします。
その損をした時にすぐさま売却して終わらせてしまえばいいのに、上がる場合もあるからですが、なんとかその損を取り返したいと考えて、結果的に更なる損を重ねてしまい、あの時に売っておけばよかったと後悔してしまう人は、投資で失敗してしまう可能性があります。
人生においても損切りができない。
これは人間関係でも同じことが言えます。
人間関係に固執してしまったりする人も多いのではないでしょうか。
さらに、仕事でも同じです。
この業界には未来がないなとか、自分は他の会社に行かないとやばいなと思いながらもなかなか行動できないという人も多いはずです。
同じようになかなか物が捨てられないという人もいますが、これらはすべて損切りができないことによる現象だと言えます。
今決断すれば一番損をしないはずなのに、それを決断することができず先延ばししてしまうことで、さらなる損を作り出してしまうということにつながります。
なぜこのような損切りができないのかというと、自分が間違っていた、あるいは、自分が損をしているということを受け入れないといけないからです。
自分が判断を間違い損をしたということを受け入れて、これ以上の損をしないためにそこで決断するというのが損切りです。
もちろん諦めない気持ちというものも大事です。
頑張り続けることで成果が出なかったものを成果が出るようにしていくことは良いことですが、自分の判断が間違っていて損をしたのに、それを認めることができないのは危険です。
マインドフルネスで合理的判断力を高める。
マインドフルネス瞑想は、自分はありのままに受け入れたり呼吸に注目することで、様々な効果がありますが、このマインドフルネス瞑想は、損切りが出来なかったり非合理的な判断を軽減してくれるという研究があります。
この場合の非合理的な判断というのは、心理学や行動経済学ではサンクコストバイアスと呼びます。例えば、1500円払って2時間の映画を見ようとして、映画が始まって冒頭ですぐにとてもつまらなくて見る価値がない映画だと思ったとします。
見る価値がないし時間の無駄だと思ったにも関わらず、そのまま1500円がもったいないからと考えて最後まで映画を見るのか、1500円はもったいないけれどそれ以上に時間も無駄にしたくないのですぐに外に出るのか、どちらを選びますか?
大抵の人が1500円払ったからと考えて最後まで映画を見てしまうと思います。
でももし映画が始まって30分のところで損切りしていたら、1500円の損と30分の損だけで済んだわけです。
ところが、最後まで見てやはりつまらなかったら、1500円の損と2時間の損になるわけです。
これは読書でも同じです。
できるだけ面白い本を選びたいとは思いますが、中にはどうしても面白くない本や知っていることばかりだなと思う本もあります。
そんな時にさっと本を閉じてその本を読むのをやめることができるかどうかです。
このような合理的な判断がなかなかできないことをサンクコストバイアスと言います。
この研究では、自分の身の回りに起きることに感情移入することなくありのままに実況中継するかのようにしつつ、自分の感情や思考をただ観察するだけというマインドフルネス瞑想を行ったところ、このようなサンクコストバイアスを軽減することができるということが確認されています。
自分のメンタルや集中力を改善するためには、1日に20分ぐらいの瞑想を8週間ぐらい続けないと効果が現れないという実験がほとんどですが、この実験では、一日15分瞑想をして、それから判断するだけでも効果が確認されたということです。( ソース)
瞑想が過去や未来に対する意識を減らしネガティブな感情を抑える方向に働きます。
このネガティブな感情が少なくなることで理性的な判断力が高まって、サンクコストバイアスを減らしてくれるということです。
もの、人間関係、仕事、時間、あらゆることで損切りが重要
正しく損切りができないと、最初は小さな損にしか過ぎなかったにも関わらず、更なる損を重ねてしまい結果的に大損してしまうことにつながります。
投資以外でもこの損切りができないことは様々なネガティブな影響を与えます。
例えば、人間関係であれば、人間関係でストレスを受けたり色々な損を既にしているにもかかわらず、なんとなく嫌われるのを怖がったり、その人との関係を切ると何か大きな損をしてしまうのではないかと迷ってしまうことから、相手との関係を切ることができずずるずるといいように利用されてしまうとか、ストレスを抱えたまま生きてしまうということも起こります。
物の場合であれば、またいつか必要になるかもしれないと思ってしまい、目の前にある物をずっと片付けることができず、結果的にずっと置いておくようになります。
そうすると、徐々にそれが増えると片付けないといけないというプレッシャーが増えてきて、このプレッシャーのせいで作業効率が低下してしまうとか、家でゆっくりくつろぐと思っても、頭の中でずっと片付けないといけないということが片隅にあるために、十分にリラックスすることもできなかったり、集中力が低下してしまうということも起こります。
なかなか捨てられない物がそこにあると、それが目に入るたびに毎回毎回捨てるべきか置いておくべきか判断しないといけなくなってしまいます。
このように考えて悩んでしまうと、注意は逸れてしまい目の前のことに集中できなくなってしまうのです。
であれば、捨ててしまった方が、その物の値段にもよりますが、自分の集中力を上げることや生産性を高めて新たな収入につなげるということを考えた方がメリットが出ることも考えるべきだということです。
そして、最もひどい影響が出てしまうのは仕事です。
今の仕事に満足できないとか、今の仕事で自分の能力を発揮することもできないし今の仕事をずっと続けたいと思っているわけでもないのに、なんとなくダラダラと今のその仕事を続けてしまうというようなことをすると、そんなことをしている間にあっという間に人生は終わってしまいます。
定年退職した人に、自分の人生での誇りや人生で成し遂げたこと聞いてみると、毎日会社に通ってそれが何のためなのかわからないけれど気が付いたら定年を迎えていたという人がいます。
これが一番損切りができなくてひどい状況になってしまったケースではないでしょうか。