お肉を食べると死亡率は高くなるのか?

肉はいつも悪者扱いされていますが、 「では、お肉を食べると死亡率はあがるのか?」という問題について考えてみたいと思います。

まず参考にしたいのが、ベジタリアンの寿命について調べた1999年のメタ解析(ソース)です。

5つの研究データを精査して、「肉を食べなければ長生きできるのか?」について結論を出しています。

魚は最強, 加工肉は最悪!

このメタ分析によると、ベジタリアンは動脈硬化による死亡率を20%以上ほど改善するのですが、その他の心疾患やガンなどのリスクを下げるわけではなく、全体的に見れば肉を食べるグループにくらべて長生きするわけではないという結果がでています。

ただし、ラクト・オボ・ベジタリアン(卵や乳製品は食べる)やセミ・ベジタリアン(たまに肉を食べる)、ペスクタリアン(魚は食べる)といったサブグループは、やや死亡率が下がる傾向にあります。

また、2012年のデータ(ソース)でも似たような傾向が出ていて、厳格なベジタリアンは死亡率を改善しないものの、ある程度の卵や乳製品をとった場合は9%ほど長生きするそうです。

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ベジタリアンは健康的なのか?

最近ビーガンのYoutuberをよく見ているとなんか健康的な感じがしてきています。そこで、 菜食主義者はどこまで体にいいのか考えたいと思います。

ベジタリアンが健康にいいのは間違いない

「ベジタリアンって体にいいの?」って疑問は昔からあります。

イタリアの過去に行われたベジタリアンの観察研究をまとめたデータは、96件データを使った系統的レビューです。
その結論は、

ベジタリアンは一般的な食事にくらべて、

心疾患のリスクが25%減る
癌の発症リスクが8%減る
体重も少ない
コレステロール値も良好

となっています。全体的に「ベジタリアン圧勝」という内容です。

この点で、現代人の平均的な食事よりベジタリアンが体にいいのは間違いありません。

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牧草牛(グラスフェッドビーフ)の方が健康的なのはなぜ?

私たちが普段口にしているのは、穀物で育てられている牛で、グレインフェッドビーフと呼ばれています。

それに対して、自然の環境で放牧されて、牧草だけで飼育された牛肉はグラスフェッドビーフ、牧草牛と呼ばれて、いわゆる「放牧牛」です。

肉・魚・乳製品の質は、動物たちの生育環境に大きく左右されるので、与えられたエサの違いによって、お肉の栄養プロファイルもかなり違ってきます。

その放牧牛のメリットについて説明していきます。

放牧牛はオメガ3とオメガ6のバランスがいい

オメガ6は脂肪酸の一種で、体内のオメガ3とオメガ6のバランスが悪くなると、肥満やアレルギーといった害が出ることが知られています。( ソース

一般的に、すべての牛肉にはオメガ6が入っていますが(ソース)、放牧牛のほうがオメガ3の量が多いという データが豊富です(ソース)。その割合は飼育環境によって違いますが、大体

穀物牛の2倍から5倍と言われています。

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さびついたタンパク質で体が老け込む!

脂質の酸化で体が老けるという話はよく聞くと思いますが、「タンパク質の酸化は人類の健康への脅威か?」 という論文(ソース)によると、脂質の酸化と同じように「タンパク質の酸化もかなり体に悪影響があるのでは?」という話です。

これは、スペインの研究者がまとめたレビュー論文で、過去に出た「タンパク質と酸化」に関する実験データを検討したものです。

脂質の酸化にくらべてマイナーな話題ですが、ここ十数年でかなり研究が進んできています。

タンパク質のサビが体にダメージを

脂質の酸化を「LOX (lipid oxidation)」と呼ぶのに対して、タンパク質の酸化は「PROTOX(プロトックス)」と呼ばれています。

研究者によると、

” これまでのマウス実験によれば、プロトックスが病気を引き起こすメカニズムはまだはっきりしていない。

しかし、プロトックスが老化にともなう病気(アルツハイマーやパーキンソン病、IBD、リウマチ性関節炎、糖尿病、筋ジストロフィー、白内障など)の発生に中心的な役割を果たしているのは間違いない。”

ということです。

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