メリーランド大学のジョン・ロビンソン博士が行っている「全米時間配分調査」(ソース) という調査データによると、
昔から一貫して「実はみんな思うほど忙しくない!」という結果になっています。
これは数十年にわたって「アメリカ人はどうやって時間を使ってるのか?」ということを記録し続けた調査で、この結果は具体的にどういうことかと言えば、
- 多くの人は、週に60から64時間ほど働いている、と思っているが、実際の労働時間は平均で週44.2時間ぐらいである
- 「私は週に65から74時間は働いてる!」と思ってる人の、実際の労働時間は週に52.8時間である
- 「私は週に75時間以上は働いてる!ワーカホリックだ!」と思ってる人の、実際の労働時間は週に54.9時間である
といった感じです。
「私って働いてるな」と思っている人ほど、実際の労働時間は20時間も短い傾向があるわけです。
つまり、多くの人は、自分が思うより実は忙しくないということです。
本当は毎週ごとに30〜40時間の自由時間を余らせている
ロビンソン博士によれば、
”「やることが多すぎる」という感覚は、現代ではおなじみのものである。そのせいで、多くの人は人生をコントロールできていないような感覚におちいってしまう。
ところが、実際に現代人の時間配分を調べてみると、どこにも「やることが多すぎる」という事実は存在しない。これはパラドックスだ。
「あなたたちは、本当は毎週ごとに30〜40時間の自由時間を余らせているんですよ」と言っても、誰も信じてはくれないだろう。”
ということです。
週に30時間もあれば何でもできそうですが、実際にはそうはなってないわけです。
不思議で恐ろしいことですね。
「時間汚染」に気をつけよう
こういった現象が起きる理由としては、
- 「忙しい」自慢をしたくてダラダラ働いている人が多い
- シンプルに時間の管理が下手
とかあるかもしれませんが、多くの研究者は「時間汚染」という考え方を重視しています(ソース)。
これは、いろんな種類の作業をまとめてやろうとすることで、
- バケーションに出かけつつ仕事のメールに答える
- テレビを見ながらLINEの返事をする
- 仕事をしつつ音楽を聞く
みたいな話です。
いわゆる「ながら行為」のことで、とにかく一度にひとつのことを片付けていくのが重要ということです。
時間汚染については以前記事に書いているので参考にしてみてください。
「時間汚染」から身を守る簡単な方法
これはマインドフルネスにも通じる話で、長期的には瞑想などで「ただ目の前のことをやる」態度を身につけていくのが有効です。
ただし、ここでロビンソン博士は、さらに手軽な処方せんを提案しています。
それは、たんに「私はそんなに忙しくない」と自分に言い聞かせる方法です。
「ながら行為」をしていると、つねに脳が「次はあれやって、次はこれをして」と焦ってしまうので、とりあえずは「本当は時間がある」という事実を伝えてやるのが大事ということです。
シンプルな対策ですが、「時間がない!」と感じるだけで脳のパフォーマンスが激落ちするのは確かなので試してみる価値はありそうです。
上記の本は「何かが不足すると人間は処理能力が落ちる」ということを主張している本で、時間がないと脳が感じるだけでパーフォマンスが落ちるということが理解できると思います。