「認知症リスクを40%下げる生活習慣はこれ!」という論文(ソース)がLancetから出ています。
認知症は遺伝や環境などもかなり影響するので、「これをやれば予防できる」みたいな対策は少ないですけど、自分の頑張りでどうにかできそうなポイントを抽出してくれています。
これはLancetという有名な医学雑誌のコミッションが、過去の研究をベースに信頼度の高い要素を抜き出し、「このライフスタイルを変えれば認知症リスクが下がる!」という点をまとめたものです。
ランセットが提唱する認知症に関わる要因は12個あって、以下のようになってます。
それぞれの末尾の%は、「もしそのリスク要因がなかったら認知症のリスクが減少する%」を表しています。
- 若年期のリスク要因
- 中等教育の未終了(7.1%)
- 中年期(40才前後)のリスク要因
- 聴力の低下(8.2%)
- 高血圧(最高血圧が130 mmHgより上)(1.9%)
- 肥満(BMIが30より上)(0.7%)
- 過剰な飲酒(週に21ユニットより上=だいたい1日にワイン1杯か350mlのビール缶1本ちょっと)(0.8%)
- スポーツや仕事などによる頭部のケガ(3.4%)
- 老年期のリスク要因
- 喫煙(5.2%)
- うつ病(3.9%)
- 社会的孤立(3.5%)
- 糖尿病(1.1%)
- 運動不足(1.6%)
- 大気汚染や副流煙 にさらされたかどうか(2.3%)
喫煙とか肥満が良くないのはあたりまえって感じですが、社会的孤立とか聴力の低下みたいに「他人とのコミュニケーション」に関わる数値がかなり大きいのがポイントです。
やはり社会的なコミュニケーションは脳には必要ということですね。
研究者によれば、
” アルコールと脳機能および認知症には複雑な関係があり、大規模な観察研究などからのエビデンスが増えてきている。
決して酒が悪いとは言わないが、週に21ユニット以上は確実に悪い。”
ということで、お酒が好きな人にはちょっと辛い結論かもしれません。
でも%が低いので運動などでカバーできるのではと思います。
さらにその他のポイントについては、
” 大気汚染を減らすための政策の改定が必要だが、個人でもいくつかの対策は取れる。
例えば、交通量の多い道路を歩くのは避け、代わりに可能な限り裏通りを歩く、などだ。”
” 血圧については、以前は140以下が目標と考えていたが、認知症のリスクを減らすためには130以下を推奨したほうが良さそうだ。”
” 社会的なコミュニケーションに関するエビデンスは非常に一貫しており、現在ではより確実なものになっている。
中年期に社会的なコミュニケーションが増えると、人生の後期における認知症リスクが軽減される。この関係は十分に確立されている。”
みたいになってます。
また、上記のリスク要因に「不健康な食事」と「睡眠不足」が入ってないのは、
” ここ数年、認知症に関する栄養と睡眠に関するデータが多く発表されているが、これらを危険因子のリストに含めるほどのエビデンスの積み重ねはなかった。”
” 地中海食や北欧風の食事スタイルなどは、おそらく違いをもたらすのだろうが、認知症と関わる特定の要素はよくわからない。
いまのところは、健康的な食事をして、健康的な体重を維持するのがおすすめだ。”
ということで、まだリスクがあるリストには入れられないということです。
もちろん、睡眠や食事と認知症の相関を示したデータは多いですが、まだまだわかってないことが多いので今回のレポートには含めなかったということです。
とにかく、中等教育はちゃんと終わらせ、喫煙をせず、適度に運動し、健康的な食事をとり自然の多いところで、社会的生活をおくっていれば大丈夫なのではないでしょうか。