行動や言動に一貫性がある人は、「この人は次はこう言うだろうな」と予測しやすいので、そのぶんだけ相手への負担が少なくなり、結果として好感を抱かれやすいという傾向があります (ソース)。
そして2021年に出た実験(ソース)もまた、「予測可能性が高い人は良い人間だと思われやすい!」という結論になっていたので紹介します。
実験の内容は、
- 1988人の米国人と81人のパプア先住民に協力を頼む
- トロッコ問題(大勢の人を助けるために1人を殺すべきか?を考えさせる問題)や、それに似た問題をみんなに出す
- このとき、「大勢のために1人の人間を犠牲にすることを決めた人」と「決断できず行動できなかった人」の話を呼んでもらい、みんなに「どっちが道徳的だと思います?」と尋ねる
みたいになってます。
かの有名なトロッコ問題について、「功利主義的な人」(大勢を助けるには1人を犠牲にする)と「脱責務的な人」(そんなの決められません)を比べて、どんな印象を持つかを尋ねたわけです。
そこで見られた傾向は、
- 基本的には、「功利主義的な人」は「脱責務的な人」より「道徳的ではない」と思われやすかった
- しかし、「功利主義的な人」の行動がより予測可能に見えるようにすると(以前から「俺は少数を犠牲にしても大勢を助ける」と公言してたりとか)、「脱責務的な人」のほうが好まれる傾向がなくなった
だったそうです。
つまり、トロッコ問題で「この人は道徳的だ」と思われるかどうかは、その人の予測可能性の知覚に影響されるというわけです。
予測可能性というのは、その人の発言や行動に一貫性があり、なにを考えているかが分かりやすいことを意味しています。
研究チームによれば、
” より大きな利益のために小さなの犠牲をいとわない人々に対して、多くの人々は懐疑や嫌悪感を示す。
その理由の一つは、そのような人々が主観的に予測不可能だと認識されているからだ。
予測可能な人ほど、より道徳的に見えるのものだ。”
とのことです。
多くの人は「ひとりでも殺すのはちょっと。。」とためらうのが普通なので、「大勢を助けるには1人を犠牲にするしかない!」とすぐ決められる人は「この人は予測できない」という印象を与えてしまうわけですね。
これは「トロッコ問題」という特殊状況について調べてるだけなので、それ以外のパターンの印象については不明です。
が、いずれにせよ予測可能性ってのが人に好かれるキーワードであるのは間違いないようです。