コーヒーと緑茶にはどちらもすばらしい健康的なメリットがありますが、どちらがより健康的なのでしょうか?
2021年に出たデータ(ソース)によると、「コーヒーとお茶のどちらが脳に良いか」についての研究で、脳卒中や認知症など、おもに脳にかかわるメリットについて調べています。
これは36万5682人の男女を対象にした研究で、
- コーヒーまたはお茶をよく飲む人(50歳から74歳)を、中央値で11.4年にわたって追跡したもの。コーヒーおよびお茶の摂取量は、ベースライン時に自己申告された
- 参加者がどれぐらい脳卒中および認知症にかかったかを調べる
となっています。
それを踏まえて、年齢、性別、喫煙状況、運動量などを調整したところ、結果は以下のようになりました。
調査の期間中に確認された脳卒中は1万53件(対象者の2.8%)、認知症は5079件(1.4%)
- 脳卒中のリスク
- コーヒーを1日0.5〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが8%から12%ぐらい低下した
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- お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが16%ぐらい低下した
- 虚血性脳卒中のリスク
- コーヒーを1日0.5〜3杯飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
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- お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
- 認知症のリスク
- コーヒーを1日2〜3杯飲む人は、 認知症のリスクが7%ぐらい低下した
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- お茶を1日4杯以上飲む人は、 認知症のリスクが11%ぐらい低下した
- 血管性痴呆症のリスク
- コーヒーを1日4杯以上飲む人は、血管性痴呆症のリスクが22%ぐらい低下した
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- お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 血管性痴呆症のリスクが25%から26%ぐらい低下した
ということで、お茶とコーヒーはどちらも脳卒中リスクを下げるし、脳機能が下がるのも防いでくれるという結果でした。
さらに特筆すべき事項として、
- コーヒーだけ、またはお茶だけを飲む場合と比較して、両方を飲む場合は、脳卒中(-11%)、虚血性脳卒中(-11%)、認知症(-8%)、血管性認知症(-18%)のリスクがさらに低くなる
- コーヒーにせよお茶にせよ、どちらも1日4杯以上を飲んだとしても、脳にあたえるメリットが増えるわけではない
点があげられています。
「コーヒーとお茶は両方とも飲んだらメリットはさらに大きくなる」という結論になりそうです。
ですが、この研究にはいくつかの限界があって、
- コーヒーおよびお茶の摂取量は自己申告によるものなので、1日にどれぐらい飲めばいいのかについては不確実なところが多い。このタイプの研究では、だいたい自己申告の摂取量にはずれがある
- コーヒーとお茶の摂取量は、研究のスタート時にだけチェックしていて、その後の人生で摂取量が変わったかどうかは考慮されていない
- あくまでも観察研究なので、ここで確認された結果は、睡眠習慣や遺伝的素因など、調整されていない要素の影響を受けている可能性はある
という点も留意しておく必要があります。
とは言っても、以上の限界をふまえてもコーヒーやお茶が脳に良いのは間違いなく、その理由としては、
- コーヒーに含まれる、クロロゲン酸、トリゴネリン、ジテルペン類(特にカフェストルとカフエオール)、メラノイジンなどの効果が大きい
- お茶に含まれるカテキン類(特にEGCG)の効果が大きい
という点になります。
いずれの成分も、一酸化窒素の生成に役立ち、そのおかげで脳卒中や認知症のリスクが下がると考えられています。
また、コーヒーとお茶の両方を対象とした数少ない研究(ソース)では、どちらか片方を飲むよりも両方を飲んだほうが全死亡リスクが減るという結論もありますから、ぜひともダブルで摂取していきたいところですね。