お金は人のために使うと幸福になるという記事を以前書きましたが、ボランティアを行うと心身ともにメリットがあるというデータがあります。
どうやら他人のために働くことでストレスなどが改善し、健康状態がよくなるようです。
ハーバード大学から2020年に出たデータ(ソース)は、「ボランティア活動にはどんな良いことがあるのか?」という点を調べていて興味深いです。
これはアメリカに住む平均年齢66歳の男女約1万3000人を対象にした研究で、HRS(ソース)という有名な健康調査からランダムに選ばれています。
調査期間は2010年から2016年までの4年間で、2つのグループに分けて追跡しています。
結論をざっくりまとめると、
年間100時間ぐらい、週に2時間程度のボランティアをした50歳以上の参加者は、メンタルと身体がどちらも健康な傾向があった
だそうです。
観察研究なので明確には言えないですが、やはりボランティアは心身に良いのでは?と思わせる結果になってます。
さらに、具体的に「週に約2時間のボランティア活動」で見られたメリットは、
- 早期死亡リスクが下がる
- 身体機能の衰えが少なくなる
- 身体活動の量が増える
- 他者との関係性などの改善
- 友人と付き合う回数が増える
- 孤独感が減る
- 楽観主義が増える
- 人生の目的意識が強くなる
- 絶望感が少なくなる
- 抑うつ症状が減る
みたいになってます。
こうして見ると、「ボランティアをしたほうがいい」という気分になりますね。
ただし、この研究では「ボランティア活動は万能じゃない」という傾向も出ていて、
ボランティア活動を多く行う人でも、関節炎、がん、心疾患、慢性痛、認知機能の低下、糖尿病、高血圧、肺の病気、肥満、脳卒中などの改善とは相関していなかった
だったそうです。
全体的にみれば心身にメリットはありそうですが、慢性病に影響をおよぼすレベルではないのか?といったところでしょうか。
で、研究チームによれば、
” 高齢者が持つ多彩な経験とスキルは、ボランティア活動を通じて社会に大きな利益を与えることができる。
さらに研究が進めば、健康と社会の利益を向上させる方法としてボランティア活動を推奨する可能性もあるかもしれない。”
とのことです。
新型コロナがはびこる現在では「高齢者は対面でボランティアをしよう」と推奨するわけにもいかないですが、間違いなく社会的な貢献にはつながりますから、新型コロナが落ち着いたら、社会の役に立ちそうな活動への参加あるいは、対面ではないなんらかの形でできる方法を考えてみるとよさそうです。
ちなみに、「GIVE&TAKE」で有名なアダム・グラント博士は、「ボランティア活動は年に100時間を超えると幸福度が逆に下がる」と書いているので、ボランティア活動は年100時間以下にとどめておきましょう。