完璧を求める人の心理
「完璧主義はメンタルに悪影響」という研究は昔からあります。1995年の有名な論文(ソース) によると、
”自分や周囲に対して完璧さや高い能力のイメージを保つために、完璧主義者はいつも自分の有能さを証明しなければならず、そのせいで少しの失敗や批判にも心が傷つきやすくなってしまう。
そのくせ、自分の苦悩をどんなに親しい人とも分かち合うことができない。”
という感じです。
「自分は完璧なのだ」というイメージを保つために、逆に心がポッキリ折れやすくなりやすいということですね。
完璧主義だからこそ批判や失敗をやたら怖がる傾向になりやすいのです。
その後も研究は進んで、2017年の論文(ソース)では「完璧主義は死をもたらす」って結論になってています。怖いですね。
完璧主義と自殺
これはオンタリオ大学の研究で、過去に行われた「完璧主義と自殺」に関するデータから質が高い54件をまとめたメタ分析で、1万1747人分の観察研究を解析したものです。
ここでいう「完璧主義」の定義は、
- 他人の期待に過度に答えようとする
- 高い基準を保つことにプレッシャーがある
- ミスを恐れまくる
- 他人にも高い基準を要求する
という感じです。
自分も周りもピキピキしそうな性格ですね。
他人の期待に応えようとしすぎる
そして分析の結果は、
完璧主義な人ほど自ら命を絶つ傾向が高い(効果量は小から中程度)
なかでもメンタルに良くないのは「他人の期待にこたえようとすること」
でした。
他人に合わせようと自分を酷使するうちに、心がすり切れちゃうって感じでしょうか。
完璧主義者には新しいチャンスが恐怖の源でしかない
いっぽうで「メンタルを悪化させないパターン」もあって、
- 他人に高い基準を求める
- 身の回りを綺麗に保ったり、整理整頓を行う
といった完璧さは自殺的な思考に結びつかないということです。
あくまでも、他人からの目を意識した完璧さが自殺へ導いてしまうということですね。
研究者によれば、
”完璧主義は、自分にとって最悪な批判者である。
この罠にはまると、いつも自分に厳しい態度を取り、努力をしすぎてしまう。
そういった人にとっては、どんな新しいチャンスでも、自己批判、落胆、失敗をもたらす要素でしかない。”
あまりに他人にこたえようとしすぎて、やがてどんなチャンスも怖くて仕方なくなってしまうわけです。
まじめな人ほど自殺を考えやすいとよく言われたりしますが、あらためてメタ分析で確認されたという感じです。
これは根深い問題ですけど、まずはセルフコンパッション(自分への思いやり)で地道に自分と仲良くしてしかないようです。