たった40秒の復習で記憶力は激しく改善する!

いつも使ってることばはすんなり出てきますが、しばらく見てなかった映画の俳優の名前とか、久々に見た有名人の名前など、出てこないことがあります。

が、2015年に出た論文(ソース)によれば、何かを覚えた直後に40秒の復習を行うだけでも記憶の残り方がまったく違うということが分かってるそうです。

これはサセックス大学の実験で、参加者に26本のYouTube動画を見せて、その際、以下の2パターンで動画の内容を覚えてもらいました。

  1. 復習パターン:動画を見たあと、内容の細部を思い描くか声に出して説明する
  2. 何もしないパターン:ただ動画を見るだけ

そして2週間後に全員に記憶テストを行ったところ、ただ見ただけの動画はほぼ何も思い出せず、いっぽうで40秒の復習を行った動画は、かなりのディテールと要点を思い出すことができたそうです。

また同時に行われたMRI検査では、40秒の復習を行った被験者は脳の後帯状皮質が活性化してたそうです。ここはアルツハイマーの患者がダメージを受けがちなエリアです。

研究者によれば、

” ご存じのとおり、長期記憶として保存されない限り新しい記憶はすぐに消えてしまいます。しかし今回の実験により、短時間の復習を行うだけでも1〜2週間にわたって複雑な情報を記憶できることがわかった。この効果は、脳の特定のエリアの情報処理機能に関わっている。”


ということです。

何かを覚えたいときは、面倒くさがらずに40秒だけ復習するのが良いということですね。勉強のために本を読んだりするときにも使えそうです。

脳を劣化させないために大事なのは一緒に何を食べるかが重要

お菓子やファストフードが体に悪いのは周知のことで、そのためには野菜を増やそうとかナッツを食べようとか魚が大事だとか色々なことが言われるわけですが、新しい研究データ(ソース)は、

大事なのは「何を食べるか」よりも「一緒に何を食べるか」である

という結論になっていて、ちょっと観点が違います。

これはボルドー大学の実験で、

  1. 認知症の高齢者209人と健康な高齢者418人、平均年齢78歳を参加者として集める
  2. 全員の食事を5年間ほど追跡する
  3. 認知症が悪化した人としなかった人の違いをチェックする

みたいになってます。

参加者は1年ごとにアンケートに答えて、 どのような種類の食物をどのくらいの頻度で食べたかを記録しました。

実はここでは新しい試みをしてまして、研究チームはこうコメントしておられます。

” 食事の改善は認知症を予防する有効な方法である。

人の食事には複雑な相互関連性があり、そのつながりが脳に与える影響を理解するのは重要だろう。

これは「食品ネットワーク」と呼ばれる観点である。

過去に行われた複数の研究では、葉物野菜、ベリー類、ナッツ類、魚などを食べることにより認知症のリスクが下がることがわかっている。

これらの研究の多くは、食品の摂取量と頻度に焦点を当てているが、本研究ではさらに一歩進んで、「食品ネットワーク」を調査した。”

食品ネットワーク」ってのは新しい考え方で、ざっくり言うと、「どんな食べ物を一緒に食べてるか?」っていう全体的な傾向のことです。

「この食品を食べれば頭が良くなる」と言えれば話は簡単でいいんですが、普通に思えば、特定の野菜や肉を増やすだけで認知症がやわらぐとは考えにくいので、個々の食品ではなく、食事の全体像に焦点を当てたほうが実践的な結論が出せるのでは?と研究チームは推定したということです。

で、分析でわかったことは、

” 認知症な人たちの食品ネットワークにおけるハブは加工肉だった 。

認知症を発症した人は、ソーセージ、ハム、パテなどの高度に加工された肉と、ジャガイモ、アルコール、クッキー、ケーキ、スナック菓子などの高糖質の多い食品を組み合わせている可能性が高かった。

つまり、不健康な食品の摂取量よりも、「加工肉と他の不健康な食品を組み合わせる頻度の高さ」が認知症リスクに関わっているのかもしれない。

例えば、認知症の人は加工肉と一緒にジャガイモを食べる傾向が強く、認知症がない人は肉と一緒に果物や野菜、魚介類などの、より多様な食品を食べる傾向が強かった。”

加工肉が食品ネットワークにおけるハブである」ってのもおもしろい発見で、どうも不健康な食事をしてしまう人は、「お菓子や酒をまとめてやめる!」と考えるよりも「とりあえず加工肉から断つ!」ということから取り組んだほうがいいのかもしれません。

加工肉にこだわらずとも、「自分の食生活におけるハブは何か?」と考えてみるのは超重要な視点だと思います。

” 健康的な食品の多様性が高ければ高いほど、認知症の減少と相関することがわかった。

食品ネットワークの違いは、被験者が認知症と診断される何年も前から見られた。食品ネットワークを見れば、食事と健康の複雑さを解くのに役立つかもしれない。”

要するに、「脳機能を保つにはどの食品を食べればいいの?」って話ではなくて、とにかく健康そうな食品をいろいろと食べるのが大事なのだということですね。

まとめると、自分の食生活を見直してみて、不健康な食品をどんなものと組み合わせてとっているのかチェックしてみて、ハブとなる食品を見つけてその食品から徐々にやめてみるのがいいかもしれません。

アルコールはやはり脳を老けさせる!

最近の研究ではやはりお酒はちょっとでも脳を老けさせるという結果があって、恒常的に飲んでいる人には要注意です。(ソース

これは南カリフォルニア大学などの研究で、UK Biobank( 英国の健康機関)の参加者1万1651人の脳画像を分析しながら、全員のアルコール摂取量と比較したものです。

普段の酒量がどれだけ脳の変化と相関してるのかを調査したところ、

  • 1日あたりのアルコール消費量が1g増えるごとに、脳年齢は0.02歳ずつ老けていく
  • 酒を毎日飲んでいる人は、ほとんど飲まない同年代の人と比べて、脳の老化が0.4年ほど進んでいた(つまり、飲酒の習慣により脳の老化が加速する可能性がある)
  • ただし、もちろん脳の老化には遺伝的な要素も大きい。

という結果でした。

言い換えれば「1日1gのアルコールで脳は7日間老けていく!」ということです。

この脳の変化がどれぐらい生活の質に影響するのかは不明ですが、怖い感じですね。

さらに、この研究者はタバコの影響についても調査を行っていて、以下のような結果がでています。

  • タバコはさらに激しく脳を老けさせる可能性があり、毎日タバコを一箱ずつ吸うと、脳の老化がさらに約11日間(0.03年)進む
  • 毎日タバコを吸っている人の脳は、まったく喫煙していない人と比べて、平均して0.6年ほど脳が老化していた

タバコの方がさらにお酒よりかなり脳の老化が進むということですね。

研究チームによれば、

” 0.4年と0.6年の相対的な脳年齢の差は小さいように見えるかもしれないが、これらの数字は実際には重要だと思われる。このような違いは認知機能の悪化と関連しているから。”

ということです。数字が小さいように見えても長いこと蓄積すると、大きな違いになる可能性はあるというわけですね。酒は悪だと言えるレベルではないものの、注意は必要です。

ちなみに、この研究では脳の老化には遺伝の影響もかなり大きいようですが、2019年の研究(ソース)だと、遺伝子に恵まれてない105人を調べたところ、

  • たとえ不運な遺伝子を持っていたとしても、「エクササイズ」や「脳を使う活動」を行っていれば、認知機能の低下を劇的に防ぐことができる(具体的には、何もしない人より55%ほど認知の低下率が低い)
  • ただし、これは脳の容量が増えたわけではなく、残った脳の機能が向上したのが原因である(つまり、リソースの有効活用ができるようになった)

みたいな結論もあります。 ちなみに「脳を使う活動」ってのは、読書、パズル、アートなど、ですね。

お酒のダメージを相殺する方法

ちなみに以前書いた記事でエクササイズはお酒による肝臓へのダメージを相殺してくれるので、お酒をよく飲む人は脳を使う活動とエクササイズはやっておいた方が脳の老化を防げるのではと思います。

脳の劣化は20代半ばから始まる!

歳を取ると脳が縮むのはよく知られた事実だと思います。だいたい40代ぐらいからゆっくりと脳細胞が小さくなっていく傾向があります。

2009年や2015年の研究では、「実際は脳の劣化ってもっと早い時期から起きるのでは?」(ソース1,ソース2)という見解もいくつか出てていて、

  • 中年期の脳の健康状態は、20代〜30代をどう過ごしたかに左右される
  • ほとんどの人は、20代半ばぐらいから空間的な視覚の能力と推論力が下がりはじめる
  • さらに30代の初めぐらいには、記憶力と推理力が低下しはじめる
  • 30代半ばぐらいには情報処理スピードの低下が起きる

という感じです。

もちろん、これらの減少は40代からの悪化スピードと比べるとわずかですが、とりあえず早めに対策することに越したことはないでしょう。

さて、こうなると脳の劣化を食い止めるにはどうすればいいのか?ってのが気になるとこですが、CARDIAという有名なデータセットを使った調査が2つほど出ています(ソース1,ソース2)。

1. 頭を使う仕事はやはり脳に良い

使わない筋肉は衰えていくように、脳もやっぱり使わないと衰えていきます。

その点でやはり普段から認知機能を使う仕事についてる人は、歳をとっても情報処理が速いし、精神の柔軟性も高い傾向が見られます。

では、具体的にどんな仕事が脳に良いのかと言うと、

  • 情報の精度を評価するような仕事
  • 情報処理と分析を行う仕事
  • 商品やサービスのクオリティを判断するような仕事
  • 意思決定と問題解決が多い仕事
  • 創造性が必要な仕事
  • 目標と戦略の決定が多い仕事

という感じで、とにかく「ものごとを考える仕事は脳に良い」と言えますね。

これは観察研究なんで因果関係は分からず、「たんに頭が良い人が負荷が高い仕事についてるからでは?」という可能性も否定はできないのですが、他の研究でも「認知負荷が高い作業は脳を健康にする!」という傾向があるので、間違いではないようです。

2. テレビを見すぎてる人は脳が劣化するかも?

20〜30代ぐらいに1日3時間以上ぐらいテレビを見てる人は、25年後に情報処理スピードと精神の柔軟性がかなり下がってたそうです。具体的には、

  • テレビをたくさん見てて運動不足な人
  • テレビをほぼ見なくて運動してた人

という2つのグループを比べた場合、テレビをたくさん見てて運動不足な人は、25年後に認知機能が低下する可能性が2倍だったということです。

これは「テレビは悪だ」というより、テレビを見ることが、

  • 日ごろの暮らしで認知への負荷をかけてない
  • ちゃんと運動をしていない

という事実につながってるということですね。その意味で言えば、今はスマホとかYouTubeの視聴時間が脳の老化を進めている可能性があります。

頭を使う仕事とテレビの視聴時間の2つは、昔から「中高年の脳の老化と相関する」と言われてきた要素です。が、上記の2つの研究は、「仕事とテレビは20代の脳にも影響する」という可能性を示したところが重要だと思います。

やはり、先日書いた記事に似てますが、エクササイズは脳にとってかなり重要な刺激ということが言えそうです。それに加えて頭を使う事を日常行うと脳の劣化は防げそうです。