ブルーベリーを食べると脳に良いってホント?

ブルーベリーと言えば、 アントシアニンの量が豊富で、 抗酸化作用が半端ないです。

プロアントシアニジン(生物活性フラボノイド)も豊富で、健康に役立つ成分が多いので、様々な健康メリットがあります。

2022年4月に出たばかりのRCT(ランダム化比較試験)(ソース)では、「中年の脳にブルーベリーは効くのか?」という点を調べていて参考になると思います。

このランダム化比較試験では、体重が重めで「ちょっと近ごろ記憶が下がった」とか「ちょっと頭の回転が悪くなった」といった自覚がある中年の男女(つまり、将来的に認知症のリスクがある)33人を対象に、ブルーベリーが認知機能に良い影響があるのかを調査しています。

具体的な実験の概要は、

  • ブルーベリーは、果実の0.5カップ分に相当する量を凍結乾燥粉末の形で摂取する
  • プラセボグループには、糖分、グリセミック負荷、外観、味はブルーベリーと同じにしたが、食物繊維やアントシアニンなどを含まない粉末を飲んでもらう
  • 実験の期間は12週間で、上記の粉末を毎日飲む。
  • 試験の開始時と終了時に、5種類の測定法を使い、脳がちゃんと働いているか(実行能力、学習/記憶、気分など)を評価する。
  • 追加として、代謝マーカー(血中脂質、グルコース、インスリン)、体型(体重、BMI、ウエスト周囲径)、ミトコンドリア酸素消費率、食事摂取量も評価した。

みたいになってます。

0.5カップ分のブルーベリーはだいたい75gぐらいで、セブンイレブンの冷凍ブルーベリーだったら一袋の半分よりちょい多いぐらいです。

十分毎日摂取できそうですね。

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頭が回らない脳が働かないブレインフォッグって何?

ブレインフォッグというのは、名前のとおり頭がぼんやりしたり、一日中眠かったり、考えがまとまらなかったりといった問題が起きる現象です。

そのほかの症状として、

  • 思考のスピード低下
  • 思考の混乱
  • 覚醒度の低下
  • 情報処理がうまくできなくなる
  • コミュニケーションがうまくできなくなる

などがあります。

全体的には認知に障害が起きたような状態で、脳に満足な血が流れてなかったり、ストレスが長引いたときに起こることが多いです。

当然、生活の質には大きな悪影響があって、ほっといたら仕事がなにも手につかない状態になったりします。

ブレインフォッグが困るのは、基本的な認知の働きが低下するだけでなく、それに続く二次的な問題を引き起こすこともあるところです。

例えば、

  1. スキルと自信の低下:ある研究(ソース)によると、認知の障害が起きるとメンタルが疲れてしまうため、それによってエラーやミスを監視する能力が低下します。さらには、あらゆる活動への準備もできなくなり、最終的にはパフォーマンスが下がって、自信が低下していきます。
  2. モチベーションの低下:精神疲労のレビュー論文(ソース)によると、精神的な疲労は、タスクを行うためのエネルギーコストが、期待される報酬を上回ったときに起きます。ですが、最初から精神的な疲労を感じていると、タスクのエネルギーコストがが以前よりも大きく感じられて、結果としてモチベーションが下がり、簡単にできることしかしなくなります。

などがあります。

ブレインフォッグの原因としては、これには新型コロナのような特定の病気、生活習慣、心理的な問題などが指摘されています。

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ヨガで脳の状態がよくなる!

ヨガで頭がよくなるという記事は以前に書いたのですが、脳に対する良い影響がある可能性は高そうです。

ヨガで頭もよくなる!

まだメカニズムはよく分かってませんが、ヨガを定期的にやっている人は脳のいくつかの領域で灰白質が増えるという報告があります。

2022年に出た研究(ソース)では、脳の働きがちょっと下がってきて、なお心臓や血管の病気リスクが高い女性が、ヨガによって脳の状態が改善するかどうかを調査しています。

このランダム化比較試験は、22人の女性(平均年齢61歳)を対象にしたもので、

  1. 主観的な認知機能の低下とひとつ以上の心血管リスク因子を持つ人だけを選択

  2. 参加者を、12週間のヨガ(クンダリーニヨガとキルタンクリヤ(瞑想))、または記憶の強化トレーニングのどちらかへランダムに割り分ける

  3. 参加者の脳の灰白質をMRIで調べ、さらに記憶機能質問票(MFQ)を含む認知テストを指示。脳の構造と機能にどんな変化が起きたかを調べる

みたいになってます。

12週間のヨガで、果たしてどんなメリットが得られたのか、ということですね。

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コーヒーと緑茶はどちらが健康的効果があるの?

コーヒーと緑茶にはどちらもすばらしい健康的なメリットがありますが、どちらがより健康的なのでしょうか?

2021年に出たデータ(ソース)によると、「コーヒーとお茶のどちらが脳に良いか」についての研究で、脳卒中や認知症など、おもに脳にかかわるメリットについて調べています。

これは36万5682人の男女を対象にした研究で、

  • コーヒーまたはお茶をよく飲む人(50歳から74歳)を、中央値で11.4年にわたって追跡したもの。コーヒーおよびお茶の摂取量は、ベースライン時に自己申告された
  • 参加者がどれぐらい脳卒中および認知症にかかったかを調べる

となっています。

それを踏まえて、年齢、性別、喫煙状況、運動量などを調整したところ、結果は以下のようになりました。

調査の期間中に確認された脳卒中は1万53件(対象者の2.8%)、認知症は5079件(1.4%)

  • 脳卒中のリスク

    • コーヒーを1日0.5〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが8%から12%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが16%ぐらい低下した
  •  虚血性脳卒中のリスク

    • コーヒーを1日0.5〜3杯飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
  • 認知症のリスク

    • コーヒーを1日2〜3杯飲む人は、 認知症のリスクが7%ぐらい低下した
    • お茶を1日4杯以上飲む人は、 認知症のリスクが11%ぐらい低下した
  • 血管性痴呆症のリスク

    • コーヒーを1日4杯以上飲む人は、血管性痴呆症のリスクが22%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 血管性痴呆症のリスクが25%から26%ぐらい低下した

ということで、お茶とコーヒーはどちらも脳卒中リスクを下げるし、脳機能が下がるのも防いでくれるという結果でした。

さらに特筆すべき事項として、

  • コーヒーだけ、またはお茶だけを飲む場合と比較して、両方を飲む場合は、脳卒中(-11%)、虚血性脳卒中(-11%)、認知症(-8%)、血管性認知症(-18%)のリスクがさらに低くなる
  • コーヒーにせよお茶にせよ、どちらも1日4杯以上を飲んだとしても、脳にあたえるメリットが増えるわけではない

点があげられています。

コーヒーとお茶は両方とも飲んだらメリットはさらに大きくなる」という結論になりそうです。

ですが、この研究にはいくつかの限界があって、

  • コーヒーおよびお茶の摂取量は自己申告によるものなので、1日にどれぐらい飲めばいいのかについては不確実なところが多い。このタイプの研究では、だいたい自己申告の摂取量にはずれがある
  • コーヒーとお茶の摂取量は、研究のスタート時にだけチェックしていて、その後の人生で摂取量が変わったかどうかは考慮されていない
  • あくまでも観察研究なので、ここで確認された結果は、睡眠習慣や遺伝的素因など、調整されていない要素の影響を受けている可能性はある

という点も留意しておく必要があります。

とは言っても、以上の限界をふまえてもコーヒーやお茶が脳に良いのは間違いなく、その理由としては、

  • コーヒーに含まれる、クロロゲン酸、トリゴネリン、ジテルペン類(特にカフェストルとカフエオール)、メラノイジンなどの効果が大きい
  • お茶に含まれるカテキン類(特にEGCG)の効果が大きい

という点になります。

いずれの成分も、一酸化窒素の生成に役立ち、そのおかげで脳卒中や認知症のリスクが下がると考えられています。

また、コーヒーとお茶の両方を対象とした数少ない研究(ソース)では、どちらか片方を飲むよりも両方を飲んだほうが全死亡リスクが減るという結論もありますから、ぜひともダブルで摂取していきたいところですね。