腸内の良い細菌を増やすベストな食物繊維は?

昨日に引き続き食物繊維の話です。アンチエイジング効果として食物繊維は欠かせないもので、2015年のメタ分析(ソース)によると、一日10g食物繊維を増やすと死亡率が11%、心疾患が20%減るという結果がでています。

その理由としては、

  • 食物繊維が腸内細菌の量を増やす(食物繊維をエサにして細菌が増える)
  • 腸内細菌が食物繊維を分解して、腸を守る脂肪酸を作る(酪酸とか)
  • 不溶性食物繊維が腸の働きを刺激する

などがポイントです。食物繊維の種類によっても作用は異なっていて、たとえば酪酸の生成だったらレジスタントスターチ(穀類やいも類、豆類などに含まれる)が優秀だったり、腸の刺激って意味ではオオバコ(多年草の一つで外皮に食物繊維が含まれる)が良かったりと、目的に応じて選ぶことも必要です。

2018年の論文(ソース)では、「腸内細菌が増えやすい食物繊維はどれか?」を調べています。

腸内細菌が増えやすい食物繊維は?

これはロンドン大学などの研究で、過去に出た食物繊維リサーチから信頼性が高い64本を厳選したメタ分析で、かなり精度が高い内容です。

腸内細菌の量はお腹の調子を整える大事なポイントで、乳酸菌やビフィズス菌が少ない人は無気力でモチベーションも下がるというデータが出ていたりします(ソース)。ですので、腸内細菌の量を増やすのは、体質改善をしたいときは気にするポイントです。

分析の結果はざっくり言うと、

腸内細菌を増やすにはフルクタンかガラクトオリゴ糖がベスト!

という感じです。フルクタンとガラクトオリゴ糖は、他の食物繊維よりも乳酸菌とビフィズス菌の量を増やす作用が高いようです。

フルクタンはタマネギとかニンニクに豊富な食物繊維で、イヌリンやフラクトオリゴ糖ななどのことです。

研究者によれば、

” 慢性的な病気に悩む人たちは、しばしば腸内細菌がうまく機能していないことが多い、そのためフルクタンやガラクトオリゴ糖の量を増やせば、良いバクテリアの量が増え、痛みを減らすのに役立つかもしれない。”

とのことです。



良い腸内細菌を増やしたいと思っている人は、試してみてもいいのではないかと思います。値段的にも問題なさそうな食物繊維なので、コスパ的にも悪くないですね。

イヌリンは最強の食物繊維だ!

先日、ジャンクフードへの食欲を抑えるサプリとしてイヌリンを紹介しましたが、イヌリンの様々な効果について説明したいと思います。

イヌリンは水溶性食物繊維のひとつで、カロリーは1.5kcal/gぐらいです。

腸内で細菌のエサになり、有用な物質を生むことがわかっていて、お腹の調子はもちろんコレステロールとか糖尿病にもいいとか言われてます。

2017年にパキスタンの研究者が、ここ十数年で出たイヌリンに関する精度の高いデータをまとめたレビュー論文(ソース)を出していて、参照してる論文の数は69件で、かなり幅広くイヌリンの効果をチェックしたものとなってます。

イヌリンの効果は以下の4つにまとめられます。

食欲のコントロール効果

イヌリンが食欲のコントロールに効くことは先日の記事にも書きましたが、腸内細菌がイヌリンを発酵させて短鎖脂肪酸を作り出し、それが脳に働きかけて食欲を抑制するという仕組みです。

2015年の実験(ソース)によると、1日8gのオリゴフルクトース強化イヌリンを飲んだ被験者は、食欲を増すホルモン食欲を増すホルモンが増加したのにかかわらず主観的な空腹感がしっかり減少したという結果が出ています。

これは過去のデータでも何度か確認されてて、イヌリンを摂った人はグレリン(食欲アップホルモン)が減り、ペプチドYY(満腹ホルモン)が増えたということです。

この現象はすべての水溶性食物繊維に起きるわけではなくて、グアーガムなどは食欲系のホルモンに影響がないなんて報告もあります。

プロバイオティクスのブースト効果

腸内細菌サプリ(プロバイオティクス)と食物繊維(プレバイオティクス)を一緒に摂るといいというのはよく聞くと思いますが、シンバイオティクスと呼ばれています。

シンバイオティクスなサプリも多くあって、Now Foodsのプロバイオティクスは腸内細菌と一緒にフルクトオリゴ糖が入ってたりします。

シンバイオティクスにはイヌリンがベストかもという風潮が出ていて、たとえば新生児を対象にした実験では、100億CFUのLGG菌と225mgのイヌリンを飲ませたところ、5年後に喘息を発症する確率が半分になったそうです。いっぽうで325mgのイヌリンだけを飲ませたグループには、同じ効果が得られなかったということです。

プロバイオティクス飲んでる方は、シンバイオティクス効果を考えてイヌリンを取り入れてみてはいかがでしょうか。

糖尿病をやわらげる効果

食物繊維は糖のコントロールに有効なので、よく糖尿病の対策に使われています。

イヌリンは他の水溶性食物繊維にくらべて発酵性が高いので、糖尿病の進行を遅らせる効果が高くなるようです。要するに、ほかの食物繊維よりも腸内細菌のエサになりやすいということです。

近年の研究でも、食品に入っている天然のイヌリンほど発酵性が高い傾向があって、1型糖尿病のマウスにも高い効果を示したということです。

さらにイヌリンがファーミキューテスとバクテロイデス(いわゆる痩せ菌とデブ菌)のバランスを改善してくれたので、免疫システムにも良い影響が出たらしいです。

人間に対する試験はこれからの段階ですけど、糖尿病対策に期待が持てそうです。

コレステロールを改善する効果

たいていの食物繊維はコレステロールを低下させる機能があります。

その中で、ハイパフォーマンスイヌリン(HPイヌリン)と呼ばれる強化型が出ていて、これの効果が大きいのではと考えられています。

HPイヌリンの効果はまだラットを使ったものが中心なので、どれだけ人間でも同じ作用があるかは不明ですが、ラット実験では中性脂肪とコレステロールを下げる良い効果が出ているので期待できそうです。

ジャンクフードへの食欲が消えるサプリ

2016年に発表された論文で「ジャンクフードを食べたい気持ちが消えるサプリ」という面白いデータ(ソース)があります。

これはインペリアル・カレッジ・ロンドンの健康な20人の男性を対象にした実験で、みんなにイヌリンプロピオン酸エステル(イヌリンPE)が入ったミルクシェイクを飲んでもらい、食欲が減るかどうかをチェックしました。

イヌリンは食物繊維の一種で、お腹のなかで食物繊維が消化され、腸内細菌が分解してプロピオン酸という短鎖脂肪酸に変え、これが 脳に働いて食欲をおさえてくれると考えられています。短鎖脂肪酸は腸内バリアの修復効果など、すごい物質です。

そこで研究者たちが考えたのが、イヌリンとプロピオン酸が一緒になったサプリを飲めば、さらに効率よく食欲が減るのでは?という仮説です。

ダイエットに役立つ「スーパー食物繊維」を作ろうとしてるわけです。

実験では、まずイヌリンPEを飲んだ参加者をMRIにかけて脳をスキャンしました。

そのうえでピザやチョコ、サラダなどの写真を見せたところ、脳の報酬系の活動が少なかったそうです。つまり、ジャンクフードを見ても脳が興奮しなくなったわけです。

スーパー食物繊維で食事の量が自然に減った

次に2番めの実験では、参加者にトマトソースのパスタが用意され、「好きなだけ食べていいよ」と指示しました。その結果、イヌリンPEを飲んだ参加者は、別のドリンクを飲んだ場合にくらべて10%もパスタの量が減ったということです。

また、同じ研究チームは以前にも似た実験をしていて(ソース)、イヌリンPEを半年ほど飲んだ参加者ははっきりと体重が減ったそうです。こちらは肥満ぎみの男性が対象なので、体重が減りやすかったということはありますが、すごい効果です。

データによれば、1日10gのイヌリンPEを飲むと、普通のイヌリンにくらべてプロピオン酸が2.5倍も出るということです。研究者によれば、

” 同じ量のプロピオン酸をイヌリンだけで得るには、1日に60gを摂取しなければならない。ちなみに、現時点でイギリスの食物繊維量は1日15gである。”

ということです。日本人は1日に平均で12〜15gの食物繊維をとっているので、同じ感じです。

国がおすすめする食物繊維の目標量は、1日に男性19g以上で女性17g以上なので、今回の実験と同じレベルのプロピオン酸を摂取するには、とても足りないです。

残念ながら今のところイヌリンPEのサプリは市販されてませんが、2017年のレヴュー論文(ソース)で良い結果だったイヌリンFOSがおすすめです。お腹にガスが起きるケースがあるので様子をみながら試してみるのが良いと思います。