世界一血管が綺麗な人達はどんな生活をしてるの?

ボリビア、チマネ族の血管が凄い!」という研究(ソース)は、ボリビアの狩猟民族の健康状態を調査したもので、とても興味深いです。

これはニューメキシコ大学の論文で、ボリビアのアマゾン盆地で暮らす700人のチマネ族を調べたものです。昔から心疾患の発症率が異常に少ないことが知られています。

今回の実験では、研究者がボリビアの奥地に出向いて、チマネ族にCTスキャンをお願いしました。

世界一血管がキレイな部族

そこで分かったことは、

  • チマネ族の10人中9人は完全に血管がクリアで、心疾患のリスクは限りなくゼロに近かった
  • チマネ族が75才になっても、65%は心疾患リスクがゼロのままだった
  • 心拍数、血圧、コレステロール、血糖もすべて先進国より低かった

となっています。

この時点で、チマネ族こそが「世界でもっとも血管がキレイな民族」の暫定1位だとわかったわけです。

なにせ、80才を過ぎたチマネ族の血管年齢は、だいたい先進国における50才と同じだったということで、素晴らしいです。

体内の炎症は先進国よりも高い

また、このデータで面白いのが、

チマネ族の体内は先進国の人間よりも炎症していた

という結果も出てることです。

やはりボリビアの暮らしは感染症リスクが高いので、どうしても先進国より炎症レベルが高くなるようです。

チマネ族の平均年齢が70才ぐらいなのも、感染症が大きな原因のひとつになっています。

体内の炎症は老化の元であることは記事にも書いてますが、炎症レベルがあがるほど血管ダメージが増えていくことが、多くの研究で分かっています。

あらゆる不調を引き起こす「慢性炎症」とは?

ですが、チマネ族はキレイな血管をキープしてるわけで、研究者も驚いています。

” 普通に考えれば、炎症は心疾患のリスクを増やすはずである。ところが、チマネ族の炎症は心疾患リスクの上昇とは関係がない。”

これは、チマネ族のライフスタイルが炎症の害を相殺しているのかもしれないし、たんに炎症がなければ100才以上まで生きられるかもしれませんが、それは謎ですね。

血管をキレイにする暮らしとは?

チマネ族の暮らしは、

  • 三大栄養素のバランスは、タンパク質14%、脂質14%、炭水化物72%
  • おもな炭水化物はイモ、米、グリーンバナナ、キャッサバ、コーン、フルーツなど
  • 脂肪とタンパク源は魚、猿、ピラニア、野ブタ、ナッツなど
  • タバコはほぼ吸わない
  • 1日に男性は17,000歩、女性は16,000歩を歩く。老人も同様。
  • 1日の狩猟時間は平均で8時間以上。歩行距離はおよそ18キロ。
  • 1日にまったりする時間は全体の10%ほど。

という感じです。

エセックス大学のギャビン・サンダーコック博士が指摘するポイント(ソース)によれば、

” チマネ族の人々は、「高エネルギー流束ライフスタイル」と呼ばれる暮らしをしている。つまり、たくさん動いてたくさん食べる暮らしだ。もちろん炭水化物も大量に食べないといけない。”

” そもそも人類は、そのような暮らしを送るように進化してきた。だが、現代人は、そういう自然な活動の多くを暮らしから取り除いてしまった。”

ポイントはエネルギー流束?

この「エネルギー流束」というのは、

  • 低エネルギー流束=1,500kcalを食べて2,000kcal消費する
  • 高エネルギー流束=2,500kcalを食べて3,000kcal消費する

という感じです。

どちらも1日にー500kcalという点は同じですが、多くの研究で「高エネルギー流束のほうが健康になる」という結果が出ています。

以上が血管が世界一綺麗なチマネ族の暮らしについてでした。健康的な食事はもちろん、日々の活動が重要なのですね。

全粒粉は本当に体に良いのか?

全粒粉は体にいい」という話はよく聞きます。

小麦をまるごと粉にしたのが全粒粉で、普通の精製粉にくらべて食物繊維が格段に多いので、心疾患で早死するリスクを下げると言われています。

実際、健康食としては定評がある「地中海式ダイエット」も大量の全粒粉を食べるのは有名です。

地中海式ダイエットが長生きに効くのも、全粒粉の効果では?、とも考えられてきたわけです。

ただ、この根拠は観察研究がベースなので、「たんに健康的な暮らしをしてる人は全粒粉の消費量が多いだけでは?」という疑問も残っています。

全粒粉が体にいいのではなく、健康志向の人が全粒粉を食べてるだけではないかということです。

本当に全粒粉は体にいいのか?

かなり難しい問題ですが、2017年にやっと精度の高い研究(ソース)が出て、「本当に全粒粉は体にいいのか?」というポイントを徹底的に調べてくれました。

これはケンブリッジ大学の研究で、過去に行われた実験からデザインが良い9件を選んで、1414人のデータを精査したメタ分析になっています。

参加者は、健康体の人、心疾患にかかった人、メタボや高血圧など心疾患リスクが高い人が対象になっています。

だいたいの実験は、いろんな参加者に全粒粉の食事をしてもらい、心疾患リスクが下がったかどうかをチェック(コレステロール、血圧や人生の質など)しました。

その後、平均で12週間のフォローアップが行われています。

全粒粉が体に良い証拠は見つからなかった

その結論は、

全粒粉が体に良いという証拠はなし!

ということでした。

いくら全粒粉を増やそうが、総コレステロール、悪玉コレステロール、血圧などには特に目立った影響はなかったみたいです。

うーん、衝撃的ですね。いつも普通の白いパンじゃなくて全粒粉のパンが良いって思ってましたから。

データは、

すべての結果について個人差が非常に少ない

信頼区間もほとんどゼロに近い

という傾向があるのがポイントです。

簡単に言うと、「全粒粉はどんな人にも意味がない」ということで、人によっては体にいいって可能性も限りなく低いわけです。これまた驚きです。

さらに言うと、全9件のデータのなかで2件は「全粒粉を増やしたら吐き気やガスが発生した」という報告もあります。

この研究にも欠点はあって、

  • 全体的に実験と途中で止めた参加者が多い
  • ひとつの実験ではパンだけを使ってたり、他では玄米やオーツ麦を使ってたりと、実験によってプロトコルがばらばら

という点は結果に影響してそうな気もします。その点ではもう少しデータがあればいいかもしれません。

ともあれ、以上のことから、

どうも全粒粉には意味がない可能性が高いが、もちろん健康に悪いわけでもない

という印象です。

白米と同じで、「別に嫌わなくてもいいけど、あえて積極的に食べる理由は見つからない」といった位置づけでしょうか。かなり全粒粉の価値がない感じになってしまいましたね。

卵を1日3個でコレステロールの機能が良くなる?!

卵はすっかり健康食に

ここ数十年で、大きく立場が変わってきた食材といえば卵です。

1980年代は卵は血中のコレステロールを上げて心疾患の原因になる

1990年代半ばは、いや、実は食品のコレステロールって問題ないらしい(ソース

2015年ぐらいは、というか、卵は1日1個は食べたほうがいい(ソース

2016年には、マウス実験だと1日3個は食べたほうがいい(ソース

といった変遷をたどっていて、1日の摂取量についてはまだ議論があるものの、とにかく卵は健康食だと考えて間違いないようです。

1日3個の卵でメリットが

2017年に出た論文(ソース)では、「健康な男女でも1日3個の卵でメリットがある」という結果になってて、さらに1日のリミットが上がっています。

これはコネチカット大学の実験で、健康な40人の男女、年齢は18才から30才を対象にしたものです。

若くて健康な人と卵の関係を調べた実験は少ないので、貴重なデータと言えます。

実験は14週間で、実験の内容は、

2週間だけ卵をまったく食べない

次の4週間は卵を1日1個の生活をする

さらに次の4週間は卵を1日2個に増やす

最後の4週間は卵を1日3個に増やす

という、卵を増やす以外は普段の食事を続けてもらい、特に運動も指示しなかったようです。いつもの暮らしに卵を足したらどうなるかを調べたわけですね。

卵を増やすほど脂質の状態がよくなった

実験の結果、どんな変化が出たかというと、

  • コレステロールの粒子サイズが改善:コレステロールは量より質という研究結果もあるように(ソース)、HDLやLDLなどのコレステロールは機能性が重要です。卵を1日3個ずつ食べた参加者はコレステロールの粒子サイズが上がり、全体的な機能が改善したそうです。具体的には、大きいLDLが21-37%、大きいHDLが6−13%ずつ増えました。
  • コレステロールの流出能が改善:こちらもコレステロールの質に関わることです。コレステロール流出能は、血管の壁にこびりついたプラークをHDLが取る能力のことです。簡単に言えば、動脈硬化のリスクが減ったわけです。
  • 血中の抗酸化物質が増量:卵を増やせば増やすほど、血中のルテイン(抗酸化力が高いカロテノイドの一種)やゼアスタキサンチン(カロテノイドの一種)が増えました(20〜31%)。

という感じになっています。いっぽうで他の要素に悪影響は出ておらず、基本的にはメリットしかない結果です。

ということで、健康的な皆さん、卵一日3個食べてみてはどうでしょうか?

働く時間が週40時間超えると死ぬリスクが高くなる!

働きすぎが体によくないのは当たり前ですが、2015年にロンドン大学から出された2つの論文(ソース1,ソース2)は「具体的にどれだけ働くリスクがあがるのか?」ということを調べています。

ひとつは「労働時間と心疾患リスク」に関する調査で、もうひとつは「労働時間と糖尿病リスク」をチェックしたものです。どちらも一流誌の「ランセット」に載ったメタ分析で、かなり信頼性が高いと言えます。

週の労働時間が55時間を超えると脳卒中リスクが33%あがる!

まず一つ目の論文は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアから約60万人のデータを集めて、「労働時間と心疾患」の関係を8.5年間ほど追跡したものです。その結果は、

  • 週の労働時間が40時間までなら問題なし!
  • 週の労働時間が41〜48時間になると脳卒中リスクが10%高まる!
  • さらに週の労働時間が55時間を超すと脳卒中リスクが33%、心疾患リスクが13%高まる!

みたいになっています。 仕事のストレスが心疾患によくないのはもちろん、働きすぎな人は酒量が多かったり運動不足の傾向もあるので、そのへんが影響してるようです。

日本の基本労働時間て40時間(一日8時間)なので、ちょっとでも時間外労働したら、すぐに48時間ぐらいいきそうですね。そして41-48時間だと脳卒中のリスクが10%も上がってしまいます。

週の労働時間が55時間を超えると糖尿リスクが30%あがる!

もう一つの論文は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、日本から約22万人のデータを集めて、「労働時間と糖尿病」の関係を7.6年間ほど追いかけたもの。その結果は、

  • 週の労働時間が33〜40時間までなら問題なし!
  • さらに週の労働時間が55時間を超すと糖尿病リスクが30%高まる!

となっています。

この数値は喫煙や運動量、肥満などの影響を調整しても変わらなかったということです。

こちらも長時間労働のストレスにプラスして、睡眠、リラクゼーションやエクササイズが足りないのが大きいようです。

以上のことから、こちらも週55時間以上の労働は死ぬリスクが30%!という結論でした。

厚労省は週80時間を超える残業を過労死ラインにしてますが、この基準よりもかなり下の段階から死のリスクは高まっていくようです。

大体80時間ってどういう状況でそんな仕事ばかりになるのか想像しにくいですが、死へのリスクは55時間を超えたあたりからかなりやばいということです。