世の中には「推奨される運動のガイドライン」がいろいろありますが、なかでも有名なのは、
- ウォーキングぐらいの軽い運動を週に150分
- または、ランニングぐらいの中程度から強めの運動を週に75分
- 筋トレを週に2回
というWHOのガイドラインだと思います。多くの国でも使われてる定番の数値です。
が、ここで「軽い運動を週に150分」と「強い運動を週に75分」の効果って同じなのか?ということが気になりますね。
ウォーキングぐらいの軽い運動だと、いくら倍の時間をやってもランニングには勝てなそううだし、そもそも人によってはきつめの運動はどうにも苦手という人も多いはずです。
実際、2017年の研究(ソース)によると、人によっては脳内麻薬を受け取るレセプターの量が少ないケースがあることがわかっていて、このようなタイプの脳を持つ人はきつい運動をしても幸福感を得られないそうです。
いわゆるランナーズハイが体験できないわけです。
なので、レセプターが少ない人が「HIIT」などの高負荷なエクササイズをしても、ひたすら地獄にしか感じられない可能性が大きいです。
そのまま無理に続けても運動を嫌いになるばかりなので、ウォーキングぐらいの軽い運動にしておくのが良いです。
ってことで2020年にBMJに出てた調査(ソース)は、WHOの運動ガイドラインで得られる効果を深掘りしています。
これは米国の大規模な健康調査を使った観察研究で、47万9856人分のデータを分析したうえで、「いつもの運動量と死亡リスクの関係はどうなのか?」ということを調べました。
その結果は、
- 「強い運動75分/週」のほうが多少死亡リスクを低くするが、別に「軽い運動150分/週」でもそれほど効果は変わらない
- 少なくとも週に2回は筋トレをして、ウォーキングぐらいの軽い運動を1日30分、週に5回やるか、または1日15分の激しい運動を週に5回やると、もっとも長生きにつながる
ということで、別にそこまできつい運動をしなくても、ウォーキングぐらいの活動でも十分に長生きにはつながるのではないかという感じです。
これは高負荷な運動が嫌いな人には良いニュースですね。
研究チームによれば、
” 推奨される身体活動のガイドラインと同じレベルの有酸素運動と筋力アップ運動の両方を行う人は、そうでない人に比べて、全死亡リスクが40%もの低下を示した。
また、推奨されている有酸素運動または筋力アップ運動のどちらかに従事していた成人も、全死亡のリスクがそれぞれ29%と11%減少した。”
ということで、筋トレと有酸素運動の組み合わせがよく、有酸素運動は軽い運動でもよさそうです。
ちなみに、日本における「運動の推奨量」(ソース)はWHOのガイドラインよりも多く、
ウォーキングぐらいの身体活動を毎日 60 分!( 8000〜9000 歩/日)
みたいになっています。
なんとアメリカの推奨レベルの2倍で、これはもともと日本人が欧米人よりも運動量が多いからだとされてるからだそうです。
普段、車に乗らずいつも歩いたりすることが多い日本人はやはり1日8000〜9000 歩ぐらいは歩くのがいいかもしれません。