「Beginners (ビギナーズ)」という有名なサイエンス系のジャーナリストで、「ハマりたがる脳」で有名なトム・ヴァンダービルトが書いた本によると、
- 新しい技術を習得する能力は年齢とともに低下することがわかっている
- しかし、近年の科学では中高年でも効果的に学習できることもわかってきた
- それなら、自分もいろいろと新しいスキルを学んでみよう!
という話になってます。
著者は40代後半ですので、新しいことしたいけど、年だからなあと考えている人には参考になるかと思います。
一念発起した著者は、1年間かけてさまざまなスキルの習得を試みます。
チェス、歌、絵、ジャグリング、サーフィンなどの学習などです。
そして、いかに現代の「正しい練習法の知識」を使って、それぞれのスキルを高めていったかが書かれています。
ちなみに、この本では58歳から86歳までの成人を対象にした研究が紹介されてて、すべての参加者にスペイン語、音楽、作曲、絵画などのコースをいくつか受講してもらったところ、
- 数ヶ月後の結果は、全員が個々のスキルを向上させただけでなく、より一般的な認知テストにも顕著な改善が見られた
- 認知が改善した後のテストの成績は、30歳若い大人のパフォーマンスに匹敵した
だったそうです。
確かにここまでの改善ぶりを見せつけられると、中高年でも「新しいことを学ぼう」って気になります。
具体的に著者が行った練習は、こんな感じです。
1. 意図的な練習
これは非常に重要なポイントで、要するに「無心に同じ行動を繰り返すのではなく、何が正しくて何が間違っていたのか分析しよう!」ということです。
という本にも書かれてあるように、「練習における最大のポイント」です。
ヴァンダービルトはチェスで「意図的な練習」の効果を確かめていて、数百時間をオンラインチェスに費やすよりも、プロの戦略を研究したり、チェスの教師と語り合う方が実りは多かったということです。
2. 繰り返しのない反復
こちらも学習法の定番で、要するに「練習に変化を持たせよう!」という話です。
たとえば、ヴァンダービルトの場合は、ジャグリングで持つ物を入れ替えたり、投げる高さを変えたり、座ってやったり、歩きながらやったりと、いろんな練習パターンを試したそうです。
これは、脳の学習パターンをより柔軟にする効果を持っています。
3. 他人に教える
他人に教えると情報が頭に入りやすく、スキルも身につきやすい!ってのも良く聞くことですね。
他人への意識が学習力を高めるのも間違いないところです。
他人に教えることで学習効率が上がる理由はまだ謎が多いんですが、「他者への意識」が興味や好奇心を高め、脳機能をの活性につながると考えられてるそうです。
なんかわかる気がしますね。
以上のように、いずれも定番の手法なので、皆さんご存じかと思います。
ですが、いずれの手法も実際に試すとなると「どうすればいいのだろう?」と悩んでしまうケースが多いので、著者の実践報告が役に立つのではないでしょうか。
また、ここで述べられてるのは単に「正しい学習法」だけでなく、「新しい技術を学び始めるたびに人間の脳は形を変えていくつまり、脳をシャープに保つには永遠の初心者であることが大事である!」という点が強調されています。