運動のあとも脂肪が燃えやすい体になる「アフターバーン」の効果ってあるの?

運動をすると、その後でじっとしててもカロリーが燃えやすくなる現象があります。
いわゆる「アフターバーン」などと言われる状態で、運動をするとしばらく安静時の代謝が上がると考えられています。

ですが、

  • アフターバーンは本当に存在するのか?
  • 存在するとしたらどれぐらいの効果がどれぐらい続くのか?

などの疑問があります。

アフターバーンを報告したデータは過去にもありますが、正味な効果はあまり分かっていません。

ということで、2020年に出たメタ分析(ソース)では「アフターバーン」について深掘りしてくれています。

この研究は、

  • 822人の被験者を対象とした22件の研究を選出し、そのうち18件がメタ分析にふくまれた
  • 研究の基準としては、間接熱量測定(酸素消費量を測定し、その測定値を用いてエネルギー消費量を決定する手法)で、運動の開始時と終了時の安静状態を評価したものだけを選んでいる
  • ほとんどの研究は、あまり運動をしない過体重または肥満のグループが対象
  • 最も短い研究は10日間で、いくつかの研究は2~6週間。大多数の研究は12週間以上で、最長は1年だった

などとなっています。

A multi-ethnic group of adults are indoors in a fitness center. They are lifting dumbbells and squatting.

ということで、結果は、

1.有酸素運動と筋トレを併用した場合、安静時代謝は有意には増加しない

    • ただし、信頼区間は1日あたり-13~+161kcalの範囲なので、だいぶメリットのほうに振ってる印象ではある、平均値は1日あたり+74kcalだった
    • また、2つの外れ値を除去すると、全体の所見は統計的に有意になり、平均値は1日あたり+61kcal、信頼区間は27~95kcalだった

2.有酸素運動だけの場合も安静時代謝を有意には増加しなかったが、信頼区間はわりと偏っていた(-58~+221kcal/日、平均値は82)。

3.筋トレだけで見た場合は、1日平均96kcalの安静時代謝を有意に増加させた(信頼区間は45~147kcal)

4.体重の変化については、「体重に変化なし」と報告した研究では、運動で安静時代謝が有意に増えていた(平均+66kcal/日、信頼区間+3~+129)。「体重が増えた」と報告した研究では、有意な増加は認められなかった

ということで、筋トレだと1日あたり平均100kcal近く増加するものの、有酸素運動だと似たような現象は起きないようです(信頼区間には偏りがあったけども)。

筋トレが代謝に影響する理由は、おそらくは筋タンパク質合成と筋肉それ自体の量が増えることによるのが原因のようです。

一方で有酸素運動の結果はばらつきが大きくて、運動後に代謝が増えるという研究もあれば、逆を示したものもあります。

この点は謎ですが、有酸素運動で筋肉にダメージがあるせいなのかもしれないし、安静時代謝を測定したタイミングの問題かもしれません。

そういうことから、全体的には「筋トレはカロリーを燃えやすい体にしやすい」ということは言えそうですが、

  • 肥満と過体重の人がメインなので、普通体型の人で同じ傾向が確認されるのかはわからない
  • このメタ分析だと、どんなタイプの筋トレが安静時代謝に影響しやすいのかはわからない

といった点には注意が必要です。

おそらく筋タンパク質合成が関わってるはずなので、筋肥大を目的にしたボリュームが多めなトレーニングがいいのではないかと推測されます。

どのポリフェノールが運動のパフォーマンスアップにいいの?

ポリフェノールが体にいいソース)という話は良く聞いていると思いますが、それだけでなく、「運動のパフォーマンスも上げてくれるのでは?」というメリットもあります。

その原因としては、ポリフェノールの抗酸化作用が身体のダメージを和らげてくれることと、さらにもうひとつ大きなのが、

ポリフェノールのおかげで腸内細菌が元気になる

と考えられています。

この働きにより、

  • エネルギーの代謝へすぐに作用する
  • 栄養を取り込みやすくなる
  • ミトコンドリアの生合成を刺激する
  • 抗酸化システムがさらに活性化する
  • 糖質と脂質のホメオスタシス(生体が変化を拒み、一定の状態を維持しようとする働き)にも効く
  • DNAの修復に関与する転写因子にも作用する

などのメリットが得られるということです。

運動のパフォーマンスだけでなく、アンチエイジングにも欠かせないポイントが多いです。

2020年パドヴァ大学から「ポリフェノールと運動のパフォーマンス改善」というポイントについて208の先行研究をまとめて、「どのサプリにどれぐらいの意味があるのか?」というのを提示してくれています(ソース)。

それぞれの効果量やデータの精度を細かく見てるわけではないので、あくまで「これぐらいの効果があるかも?」ぐらいの解釈ですが、とりあえず見込みがありそうなポリフェノールを押さえておくためには有用かと思います。

研究チームがまとめた「パフォーマンスにアップに効きそうな」成分は、

クルクミン(ウコンに入っている有効成分)

    • 実験で使われた摂取量:1日80~200mg
    • 得られそうなメリット:筋肉疲労の改善、筋肉量の減少を抑える、筋肉痛を抑える、筋疲労の回復、酸化バランスの改善、インスリン感受性の改善

レスベラトロール(ブドウの皮などから抽出される)

    • 実験で使われた摂取量:1日100~500mg
    • 得られそうなメリット:筋肉のミトコンドリアを増やす、運動のパフォーマンス向上、肥満をやわらげる作用、脂肪酸の酸化を抑える、糖代謝の改善

赤ワインのレスベラトロールはアンチエイジング?

ココアフラボノイド

    • 実験で使われた摂取量:1日200~500mg
    • 得られそうなメリット:脳の血の流れが増える、血管の機能が改善する、運動の酸化ストレスを減らす

ケルセチン(野菜や果物に多く存在)

    • 実験で使われた摂取量:1日200~1000mg
    • 得られそうなメリット:肉体とメンタルのパフォーマンス向上、筋トレ中と後の神経筋パフォーマンスを改善、筋肉ダメージによる筋力低下を抑える、運動後の回復時間を短くする

コロナウィルスに抵抗できる免疫力を付けよう!

緑茶エキス

    • 実験で使われた摂取量:1日250~1000mg
    • 得られそうなメリット:筋肉の酸化ストレスを減らす、筋肉疲労による神経系の衰えを改善

ブルーベリーエキス

    • 実験で使われた摂取量:1日75~150mg
    • 得られそうなメリット:運動後の回復スピードを上げる、血管の機能を改善、血管が拡がる能力を上げる

ピクノジェノール(松の樹皮から抽出)

    • 実験で使われた摂取量:1日100~800mg
    • 得られそうなメリット:酸化ストレスから身を守る、トライアスロンのように体へのダメージが大きなスポーツのトレーニング効果とパフォーマンスが上がる

チェリージュース

    • 実験で使われた摂取量:1日30mL
    • 得られそうなメリット:筋力系のスポーツで筋肉の回復スピードを上げる、運動後の痛みが減る

エクロニアカヴァ(海藻に含まれる)

    • 実験で使われた摂取量:1日40mg
    • 実験で使われた摂取量:グルコースの酸化を促進する(エネルギーとして使いやすくなる)、強度が高い運動で出る乳酸を抑制する

などがあげられます。

ポリフェノールはとにかく体にいいので、なじみのあるものから試してみてもいいかと思います。

座りっぱなしの弊害を相殺するにはどれだけ運動すればいいの?

「座りっぱなしは体に悪い!」というデータは多くあって、以前喫煙と同じくらい座りっぱなしは良くないという記事も書いています。

喫煙と同等なくらい体に悪いこと6つ

  • 座りっぱなしの人は癌リスクが高い (ソース
  • 座る時間が長くなるほど不安を感じやすくなる (ソース

などのデータで体に悪いという結果が出ています。

イギリス政府も対策のガイドラインを出してるぐらいですし、毎日座りっぱなしで仕事しているような心当たりがある方は気をつける必要があります。

ここで問題になるのが「座りすぎがよくないのはわかったけど、それを相殺するにはどれぐらい運動すればいいのか?」というポイントです。

エクササイズをすれば座りすぎの害も相殺できるのでは?って考え方はあるのですが、実際にどれぐらい体を動かせばいいのかは不明でした。

が、2020年に「座りすぎ問題をリカバーする最低の運動は?」という問題を調べてくれた良い研究(ソース)が出ていて、参考になります。

Three people walking in a park, getting some exercise

これはBJSM(British Journal of Sports Medicine )で発表されたメタ分析で、先行研究から4万4370 人の参加者を含む9つのデータをまとめています。

だいたいの調査では参加者にフィットネストラッカーを着けてもらい、1日の運動量と死亡リスクの関係を調べた内容になっています。

分析の結果は、

1日あたり約30~40分の中~強度の身体活動を行うことで、座りっぱなしの弊害を相殺できる!

だったそうです。

もちろんそれ以下の運動やスタンディングデスクなどでも意味はあるんだけど、死亡リスクを相殺するには1日あたり約30~40分の運動が必要のようです。

研究チームによれば、

” 約30~40分間の中から高強度の身体活動を行っている人は、座り時間の少ない人と比べて、座り時間と死亡リスクの相関が変わらない。”

とのことで、まさにリスクが相殺されてます。

中から高強度の身体活動とは、例えば

  • サイクリング
  • 早めのウォーキング
  • ガーデニング
  • ジョギング

などで、早めのウォーキングを30分ぐらいなら、通勤までの道のりを速歩してみるとかで達成できそうな運動量だと思います。

ちなみに、WHOも「毎週75分から150分の中程度の強度の運動をしよう!」と昔から言ってますが、この見解とも整合性があります。

そうは言っても運動習慣がない人が1日30分と言われる戸惑うと思いますが、BJSMの編集者は「どんな身体活動でも運動としてカウントしてよい! とにかく座りっぱなしよりはましだから!」とも言っています。

つまり、

  • エレベーターの代わりに階段を駆け上がったり、
  • 通勤の道のりを速足で歩いたり、
  • いつもよりちょっと遠目の店へランチに出かけたり、

といったように、日々の活動で少しずつ運動量を増やすだけでも、座りすぎのダメージは確実に減るということです。

この時間にエクササイズすると決めるよりはハードルが下がっていいかもしれません。

ただし、この「座りすぎ」の研究はまだまだ発展途上な点もあり、

すべての年齢、性別、体型の人に同じ基準を当てはめていいかはよくわからない

そもそも「座りすぎ」の定義が研究ごとに違うケースも多い

という問題点などはまだ残っています。

それでも「1日あたり約30~40分の中~強度の身体活動」はある程度の指標になると思うので参考にしてみてください。

運動を習慣にできないのは本当は運動しているのに気づいてないから

昨日も書きましたが、有酸素運動は軽いウォーキングでも十分です。

歩くだけで長生きできるかもしれない

通勤時の駅までのウォーキングや床の拭き掃除なんかも立派な身体活動なので、エクササイズとしてカウントして大丈夫というのが最近の考え方です。

そうは言っても、いままでまったく体を動かしてなかった人は、超軽い運動の量を増やすのも意外と難しかったりします。

その原因としては、たんに習慣化されてないってのももちろんあります。

2020年に発表されたデータ(ソース)は、運動しているかどうかの認識について調べていて面白いです。

これはコンスタンツ大学などの調査で、長期の健康調査に参加している男女605人のデータを分析したものです。参加者には

  1. 直近の1週間でどれぐらい身体活動をしたかを質問
  2. 6カ月後に、身体活動のレベルにどれぐらい変化があったかを質問
  3. 60分のサイクリングテストで客観的な体力を測定

などをしてもらいました。

主観的に「私は運動をしている!」と感じている人と、「なかなか運動できなくて」と感じている人の間にはどんな違いがあるのかを調べたわけです。

その結果は、

  • 6カ月後に「私は運動をするようになった」と答えた人は、ランニングなど激しい運動の量が週に約52分〜82分ぐらい増えていた。そのおかげでちゃんと体力もついていた
  • ただし、「私は運動をするようになった!」と答えた人は、中等度の活動(ジョギングとか早歩きとか)の量は増えていなかった

だったそうです。つまり、

  • 多くの人はかなり激しい運動をしないことには、主観的に「自分は運動をした!」と思いづらい

ということです。

実際にはそこそこの運動をしてたとしても、自分が「これはしんどい」と思えるレベルをこなさないと、「私はエクササイズをしている」って感覚が生まれないっていうことですね。

中程度の活動でこう感じるので、床の拭き掃除や散歩の量を増やしたところで、「やってる感」は生まれにくいかもしれません。

研究チームによれば、

” 今回の研究結果によると、多くの人は、軽度な身体活動を効果的なものだとは認識していなかった。

そのため、運動が健康に良いことは誰でも知っているにもかかわらず、十分なモチベーションを得られていない可能性がある。”

とのことです。

Three people walking in a park, getting some exercise

普段から、ちゃんと活動量があるのに、「自分なんて運動してないですから」と思っているってことですね。もったいない話です。

ただし、チームは以下のことも言っていて、

” この結果は、長期的に運動プログラムを続けられない人が多い理由を説明するのにも役立つかもしれない。

私たちは、中程度の身体活動がもたらすメリットを無視してしまうのは、少量の身体活動に気づくのが難しいからかもしれまない。”

本当にこれが原因ならば、

  • 「どんなに少量の活動でも健康には意味がある」ということを認識する
  • その上で、意識的に日常的な活動の量を増やす

という2つのポイントを押さえておけば、この問題を解決できるのではないでしょうか?

とにかく「どんな少しの運動でも意味はある」と思うのが、運動習慣を身につける第一歩かもしれません。