先日、ジャンクフードへの食欲を抑えるサプリとしてイヌリンを紹介しましたが、イヌリンの様々な効果について説明したいと思います。
イヌリンは水溶性食物繊維のひとつで、カロリーは1.5kcal/gぐらいです。
腸内で細菌のエサになり、有用な物質を生むことがわかっていて、お腹の調子はもちろんコレステロールとか糖尿病にもいいとか言われてます。
2017年にパキスタンの研究者が、ここ十数年で出たイヌリンに関する精度の高いデータをまとめたレビュー論文(ソース)を出していて、参照してる論文の数は69件で、かなり幅広くイヌリンの効果をチェックしたものとなってます。
イヌリンの効果は以下の4つにまとめられます。
食欲のコントロール効果
イヌリンが食欲のコントロールに効くことは先日の記事にも書きましたが、腸内細菌がイヌリンを発酵させて短鎖脂肪酸を作り出し、それが脳に働きかけて食欲を抑制するという仕組みです。
2015年の実験(ソース)によると、1日8gのオリゴフルクトース強化イヌリンを飲んだ被験者は、食欲を増すホルモン食欲を増すホルモンが増加したのにかかわらず主観的な空腹感がしっかり減少したという結果が出ています。
これは過去のデータでも何度か確認されてて、イヌリンを摂った人はグレリン(食欲アップホルモン)が減り、ペプチドYY(満腹ホルモン)が増えたということです。
この現象はすべての水溶性食物繊維に起きるわけではなくて、グアーガムなどは食欲系のホルモンに影響がないなんて報告もあります。
プロバイオティクスのブースト効果
腸内細菌サプリ(プロバイオティクス)と食物繊維(プレバイオティクス)を一緒に摂るといいというのはよく聞くと思いますが、シンバイオティクスと呼ばれています。
シンバイオティクスなサプリも多くあって、Now Foodsのプロバイオティクスは腸内細菌と一緒にフルクトオリゴ糖が入ってたりします。
シンバイオティクスにはイヌリンがベストかもという風潮が出ていて、たとえば新生児を対象にした実験では、100億CFUのLGG菌と225mgのイヌリンを飲ませたところ、5年後に喘息を発症する確率が半分になったそうです。
いっぽうで325mgのイヌリンだけを飲ませたグループには、同じ効果が得られなかったということです。
プロバイオティクス飲んでる方は、シンバイオティクス効果を考えてイヌリンを取り入れてみてはいかがでしょうか。
糖尿病をやわらげる効果
食物繊維は糖のコントロールに有効なので、よく糖尿病の対策に使われています。
イヌリンは他の水溶性食物繊維にくらべて発酵性が高いので、糖尿病の進行を遅らせる効果が高くなるようです。
要するに、ほかの食物繊維よりも腸内細菌のエサになりやすいということです。
近年の研究でも、食品に入っている天然のイヌリンほど発酵性が高い傾向があって、1型糖尿病のマウスにも高い効果を示したということです。
さらにイヌリンがファーミキューテスとバクテロイデス(いわゆる痩せ菌とデブ菌)のバランスを改善してくれたので、免疫システムにも良い影響が出たらしいです。
人間に対する試験はこれからの段階ですけど、糖尿病対策に期待が持てそうです。
コレステロールを改善する効果
たいていの食物繊維はコレステロールを低下させる機能があります。
その中で、ハイパフォーマンスイヌリン(HPイヌリン)と呼ばれる強化型が出ていて、これの効果が大きいのではと考えられています。
HPイヌリンの効果はまだラットを使ったものが中心なので、どれだけ人間でも同じ作用があるかは不明ですが、ラット実験では中性脂肪とコレステロールを下げる良い効果が出ているので期待できそうです。