腸と脳はつながっている(腸内細菌がセロトニンのような神経伝達物質を作ってくれて、これが脳に作用する)という事を以前記事にしました。
腸の健康が認知機能に影響するのではないかということで、「プロバイオティクスが高齢者の脳機能の改善に役立つか?」ということを調べた論文(ソース)が出ています。
プロバイオティクスで脳機能が改善
これは12週間のRCT(ランダム化比較試験)で、65歳以上の男女63人を集めて、
- ビフィズス菌系プロバイオティクスを飲む
- プラシーボ(偽物を飲む)
のいずれかを指示しました。
そのうえで、みんなの腸内フローラ、BDNF(神経の細胞の成長を促進するタンパク質)、脳機能(様々な認知テストや感情テスト)を行ったところ、
プロバイオティクスを飲んだグループは、腸内フローラの改善だけでなく、BDNFのレベルと認知機能が有意に改善した!
という結果でした。
小規模なテストですし、過去には「腸内が正常な人がいくらプロバイオティクスを飲んでも無駄」(ソース)という精度の高めな報告も出てるので、普通に健康な人でも同じ働きがあるかは不明です。
が、高齢になると腸内フローラも乱れがなので、加齢とともに必要かなと思います。
ビタミンDで高齢者の認知機能が改善
高齢者の認知機能にビタミンDが効くのではないかという話は昔からあるのですが、その点を調べたデータ(ソース)があります。
これは太りぎみな58才から64才の女性42人を1年にわたって調査したRCT(ランダム化比較試験)で、みんなに健康的なライフスタイルを実践するためのカウンセリングを受けてもらったあと、
- 600 IU
- 2000 IU
- 4000 IU
って3つのパターンでビタミンD3を毎日飲むように指示しました。そこで定期的に脳機能のテストを行ったところ、結果は、
- 1日あたり2000IUのビタミンDを摂取したグループは、視覚およびワーキングメモリと学習テストで最高のパフォーマンスを示した
- 逆に、1日4000 IUのビタミンDを摂取したグループは、もっとも認知の反応スピードが遅くなっていた
ということで、やはり歳をとるとビタミンDは大事なようです。ですが、一方で取りすぎもよくないってことですね。
実際、過去のデータ(ソース)でも大量のビタミンDを飲んだ高齢者は骨折のリスクが高まったという報告もあるので、上記の実験ように2000IUぐらいが良いようです。