腸内細菌がセロトニンを作ってそれが脳に作用し、私たちの幸福感をもたらしてくれるという説があります。
腸で作られた神経伝達物質は幸福感に影響する?!
2015年の研究ではセロトニンの90%は腸で作られるという結果があります(ソース)。
それで、人間の幸福に大事なホルモンであるセロトニンを作ってくれる腸をいたわると幸福になれるという話です。
腸内細菌がセロトニンのような神経伝達物質を作ってくれて、これが脳に作用するのではないかということですね。
ですが、反対に、腸内でセロトニンが作られるのは間違いないが、腸のセロトニンは脳の血液脳関門を通らないので、腸内セロトニンと幸福は関係が無いという考え方もあります。
第一のポイントとして、腸で作られたセロトニンが脳に届かないって話は正しいようです。
脳には異物を通さないバリアがあって、関所でブロックされてしまうからです。
ですが、実はそんな単純な話ではなく、腸内環境の悪化とメンタルが連動してるというデータは多くあるので(ソース1、ソース2)、2010年代に入ってから「やはり腸内のセロトニンって脳に影響しているのでは?」という研究が進んできました。
腸と幸福をつなぐ3つの経路
その代表例はUCLAのエレン・シアオ博士(ソース)で、「腸と幸福」をつなぐ経路が3つほど見つかっています。
1.セロトニンが腸から脳神経を刺激
腸には迷走神経という神経が出ていて、これが脳につながっています。
2015年の研究(ソース)によれば、どうも腸内で作られたセロトニンが迷走神経に刺激をあたえて、これが脳の視床下部に命令を出しているようです。
視床下部は、メンタルを左右するオキシトシンやエンドルフィン等のホルモンの分泌に関わるエリアです。
つまり、腸内セロトニンは血管を通って脳に行くのではなくて、脳神経に直に刺激してるわけです、いちいち血管を通すより神経を使ったほうが効率がいいですからね。
2.腸内細菌が脳にセロトニンを出すように指示!
もうひとつが、腸内細菌が脳にセロトニンを出すように命令する経路です。ざっくり説明すると、
- 腸内細菌が食物繊維を発酵させる
- 酪酸とかチラミン等の脂肪酸ができあがる
- 脂肪酸が血管を通って脳に作用
- セロトニンが増える!
という流れです(ソース)。
3.腸内細菌が免疫システムに指示
最後は、腸内細菌が免疫システムに指示を出し、それが脳まで行く経路です。セロトニンとは関係ないですが
- 腸内細菌が免疫細胞にサイトカイン(細胞から分泌される低分子のタンパク質)を出すように指示
- サイトカインが血管を通って脳に到着
- ミクログリア(脳の免疫系)が変化
といった感じです(ソース)。
ミクログリアは脳の神経とかに異常がないか見張る監視システムで、当然ながらメンタルヘルスには重要なものです。色々と腸内細菌が牛耳っている感じですね。
まとめると、
- 腸内のセロトニンで幸福に!は正しい
- 腸内細菌の支配力がすごすぎる
ということで、腸をいたわることがますます必要になってきますね。