人の能力は服装で判断される!という研究が2019年プリンストン大学から出ています。(ソース)
これは9つの実験で構成された論文で、内容は、
- いろんな服装をした人たちの画像50枚を用意
- 参加者に画像を見てもらい、どの人の能力が高いと思うかを採点してもらう
みたいになってます。
同じ人が金持ちそうな服と貧相な服の両方を着ている場合、「どっちが能力が高いと思われるのか?」をチェックしました。
そこで見られた傾向は、
1.裕福そうな服を着ている人の方が、驚くほど「優秀だ」と判断されやすかった
2.多くの人たちは、他人の服を見てから10分の1秒で相手の能力を自動的に判断する
ということでした。
予想どおりの結果ですが、とにかく判断が速いですね。
研究チームによれば、
” 過去の研究では、人間が他人の裕福さや貧しさにとても敏感な生き物である事実が示されている。
今回の研究では、「能力」のような特性を判断するときにも、私たちは他人の裕福さを指標として使うことがわかった。
このような傾向を無視するのは不可能とまでは言わないが、とても難しい。”
ということで、そもそも人類は「この人は金持ちか?貧乏か?」を反射的に判断する性向があり、それが他人の能力の判断にもつながるということです。
確かに、瞬時に相手の裕福度を見抜いたほうが生存には有利でしょうから、こういったメカニズムが脳に内蔵されててもおかしくはないということですね。
さらに、残りの実験では、
- 事前に「この写真の人は裕福ですよ」と伝えても、参加者はファッションで能力を判断し続けた
- まったく同じ人が服を変えた場合でも、やっぱりみんなファッションで能力を判断し続けた
だったそうです。
どんなに事前に「見た目と能力は関係ない!」と伝えても、バイアスを取り除くことはできなかったようです。
さらに研究チームによれば、
” 貧しい生活をしている人々は、社会から無視や軽視されやすい。
今回の結果によれば、このような軽視の感情は、最初にその人を見てから最初の10分の1で発生する。
もちろんこのような判断には根拠がないが、同じ人間が貧しい服を着た場合でも、私たちはその人を能力が低いと判断してしまう。”
ということで、なかなか根深い問題のようです。
この偏見を克服するには、偏見に気づくだけでなく、偏見を打ち消すための時間や注意力、モチベーションを持つ必要がある。
しかし、この研究では、参加者に偏見の存在を警告し、暴露の長さを変え、ターゲットに関する追加情報を与え、金銭的なインセンティブまで提供したが、どれも効果的ではなかった。
このバイアスはかなり脳の奥深くに根付いているので、基本的にはかなり対策が難しいようです。これをふまえたうえでチームが言っていることは、
” バイアスの存在を知ることは、多くの場合、克服のための最初の一歩となる。
さらに暫定的な解決策としては、可能な限り「他人を見た目で判断する場面を避ける」のも手だ。
一部の学生をひいきしないように名前を伏せて採点するのと同じように、面接官や雇用者なども、可能であれば紙の上だけで能力を評価するのもいいだろう。
実際のところ、アカデミズムの世界でも、面接をせずに採用を判断した方が優れた学者を選べることがよく知られてきた。”
結局、バイアスの克服はあきらめて「その人を見ずに選ぶ!」ってのが意外なほど効果的らしいです。
能力を判断される側としてはできるだけ裕福そうな服を着るようにするのが得策のようです。