脳は変化する
2016年にテキサス大学が「凄く効くストレス対処法が見つかった」という論文(ソース)を出していて、脳は変えられるということが分かっています。
これは10代の学生205人を対象にしたもので、まずはそのうち半分の学生に、定期的に以下の3つの作業をやってもらいました。
1.最新の脳科学を学ぶ
現在の脳科学では、いくつになっても新しい経験で脳は変わることがわかっております。学生たちには、そのあたりについて書かれたテキストを読んでもらい、「人間の適応力のすごさ」について学習しました。
2.上級生が書いたエッセイを読む
続いて、年上の学生が「若い頃に味わったストレス」について書いたエッセイを読んでもらいました。具体的には、
” まだ新入生だったころ、自分だけが友人のホームパーティに誘われない事件があった。
単に自分のことを忘れていただけかもしれないし、もしかしたら自分をのことを、呼ぶ価値がないださい奴だと思っていたのかもしれない。
でも、その時の感情がどれほど最悪でも、心の痛みは永遠に続くわけじゃなかった。ボクは学校の外に友達を作ることに決めて、スポーツクラブに参加した。そのうち状況は良くなった。”
どんなにひどい状況でも、時が経てば必ず感情はおさまるし、状況を変えることも可能なのだというのが強調されています。
3.下級生へのアドバイスを書く
最後に学生たちが行ったのが、下級生へのアドバイスをエッセイに書いてもらうことです。
自分がもっとも辛かった体験を思い出し、そんなときにどう対策を取ればいいかを、もっと下の学年に向けて書くように指示されました。
以上の作業を行ったうえで、7カ月後に生徒たちの状況をチェックしたところ、
- ストレスの対処能力がアップ!
- ストレスホルモンが18%低下!
- 最終的な成績もアップ!
という違いが出たそうです。
ストレスをやり過ごす能力があがったおかげで、成績にも影響が出たみたいですね。
人間は変われるという事実を知ることが重要
研究者によれば、
” もし子供たちが、脳は変えられないと信じていたら、何をやる気も起きなくなるだろう。しかし、脳が柔軟に変わる事実を知れば、テストの成績も改善するのだ。”
” ただし、これは生徒たちの自信を高めるためのテクニックではない。彼らの考え方を変えることで、自然と自信が増えていくのだ。”
ということです。成長マインドセットとほぼ同じ感じです。
「人は変われる」という事実を頭に叩き込むのが何よりも重要、ということです。
知識と感情の両面から「人間は変われる」という事実を知る
この実験がおもしろいのは、成長マインドセットの育て方を、体系だった方法に仕立て上げたところかと思います。具体的には、
- まずは脳が変われるということを本を読んで学習する
- 実際に困難に立ち向かった人の話を読んで、感情面からも「人は変われる」ということを納得する
- 他人へのアドバイスを書くことで客観的な視点を持つ
といったあたりがポイントでしょうか。
脳の可塑性(神経系が変化する能力)については「脳科学は人格を変えられるか? 」が詳しく説明してあります。