腸内細菌とアルコールの関係について調べた研究(2008年,ソース) によると、どうもアルコールは腸内細菌にダメージをあたえてしまうようです。
ざっくりとした流れは、
- アルコールで腸内に悪い細菌が増える
- その結果、腸に細かな穴が空く
- 穴から毒素が体内に入り込む
- 全身に炎症が起きる
という感じです。炎症はあらゆる不調のもととなるので、なかなか酒とのつきあい方は難しいと感じです。
研究チームによれば、
” アルコールには、毒性の強いバクテリアを腸内で増やす働きがあり、その結果、毒素が体内にたまっていく。
さらに、バクテリアと腸内細胞によってアルコールが代謝されると、アセトアルデヒド(二日酔いの原因)の増加を引き起こす。
これは、腸の細胞にすき間を作り、リーキーガットを悪化させてしまいます。
また、アルコールが作る一酸化窒素もリーキーガットを引き起こし、毒素が細胞にダメージをあたえた結果、腸のバリア機能をおかしくしてしまい、その結果、体内に入り込んだ毒素は腸から肝臓へ向かい、さまざまな臓器に炎症を起こすことになる。”
酒で腸内環境がおかしくなるという研究は多くあり、たとえば、
2004年の実験(ソース)では、25人の男女に酒を飲んでもらったところ、ほんの4時間後にはリーキーガットが悪化し、体内の毒素レベルがかなりアップした
という結果が出ています。
意外とアルコールの害はすぐに出てしまうようです。
どのレベルを超したら「飲み過ぎ」になるのかははっきりとは言いにくいのですが、目安としては、だいたい2時間の間に男性ならグラス5杯、女性ならグラス4杯分の酒を飲むと腸内細菌たちにダメージが出てくる感じです。
ちなみに、人類がエタノールを代謝できるようになったのは1千万年前ぐらいで、(ソース)人類の歴史から見れば、やや時間の浅い進化だとは言えるかもしれません。
お酒の分解能力は、自然に発酵した果物を飲むために発達した機能なので、少なくとも現代の精製されたアルコールに対しては、まだまだ人間の体が適応していない可能性は高そうです。
もちろん、一方ではお酒が体にいいという研究も多くあるので(ソース)、 結局は「飲み過ぎるたら害になる」という普通の結論になってしまいそうです。
アレルギーがある方や、つねにお腹の具合が悪いような方には、禁酒はしたほうがいいかもしれません。