インスリンの分泌量を気にしてもダイエットには効果がない(ソース)のなら、糖質を減らせば糖尿病に効くという話も怪しいのではないか?という問題です。
この点は実験結果が分かれていて、たとえば短期間の実験(ソース1,ソース2)だと「糖質を減らして効果があった」という結果が出てるのに、2015年に出たもっと厳密な実験(ソース)では支持されていません。
糖質量とインスリン抵抗性の関係を調査
そういう状況で1年にわたって糖質の量と糖尿の関係を調べた論文(ソース)が2016年に出ています。
これは245人の女性を対象にした実験で、平均のBMIは33.5ぐらいで、年齢は22〜72才までと幅広く、その多くにインスリン抵抗性(糖尿病はまだ発症していない段階)があります。
インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉などでインスリンがちゃんと働かない状態のことで、この状態が続くと糖尿病につながっていくわけです。
糖質量を10%変えたら1年後には?
実験では、参加者を3つのグループに分け、
- 糖質56%グループ:1日に糖質56%、脂肪20%、タンパク質15%を摂る
- 糖質45%グループ:1日に糖質45%、脂肪35%、タンパク質20%を摂る
- 糖質45%+クルミグループ:1日に糖質45%、脂肪35%、タンパク質20%に加えて42gのクルミを食べる
全員の1日の食事量は、維持カロリーのマイナス500kcalから1000kcalに調整し、さらに毎日60分の軽度なエクササイズをやってもらいました。
ちなみに、3番めのグループにクルミを追加したのは、クルミには全身の炎症を抑える作用があるから(ソース)です。
というのも、近年では「インスリン抵抗性の原因は炎症ではないのか?」という説が優勢のようです。
肥満などのせいで全身に慢性的な炎症が起こり、そのせいでインスリンの効きが悪くなっていき、最後はインスリン抵抗性に進んでいく感じです。
インスリン抵抗性が改善していた
1年後の結果は、
- 全グループとも、ほぼ同じぐらい体重が減っていた
- 中性脂肪やコレステロール値も、みな同じぐらい改善していた
- インスリン抵抗性も、全グループが30%ほど改善していた(ただしクルミを食べたグループは、ちょっと改善度が大きかった)
ということになっています。
少しだけクルミの効果があったものの、全体的にはみんな同じぐらいの改善がみられたみたいです。
体脂肪を減らすのが大事
この結果から推測できるのは、
- インスリン抵抗性を改善するには、結局は体脂肪を減らすのが一番重要
- ダイエットと同時に炎症対策もしておくと、さらに結果が良くなる
ことが言えそうです。
以上のことから、「糖尿病には体脂肪を減らすのが超大事」ということは、他のデータでもかなり確立された事実(ソース)です。