IQを計るには色々面倒なテストが必要ですが、「簡単にIQを予測する方法がある!」という論文 (ソース)が2013年に出てて面白いです。
これはロチェスター大学の実験で、まず参加者たちに白黒のバーが動く動画を見てもらいました。
具体的にどんな動画だったかはロチェスター大学のYouTubeで公開されてます。
このような動画を見ながら、参加者は「白黒バーがどちらに動いたか?」 を判断するだけです。
後半に進むに従って、どんどんバーの表示時間は短くなって行きます。
このテストを受けた後、参加者は標準のIQテストを実行(WAIS-III)しました。
その結果が、白黒バーテストの成績と関係があるかをチェックしたわけです。
で、結果は結構はっきりと出てます。具体的には、
白黒バーテストとIQテストの成績は相関係数0.71だった!
という感じです。
普通は相関係数が0.7を超えると「かなりの関係がありそうです」と判断されます。こういう実験で、これぐらいの相関が出るのは珍しいかもしれません。
つまり、この結果を簡単に言い換えると、
物の動きに素早く反応できる人は頭がいい!
ということになります。
なんでも、小さなサークル内に表示された白黒バーの動きがわかる人ほどIQも高い傾向があって、なぜか視覚的な動きへの鋭さは頭の良さと連動してるみたいです。
研究者によれば、
” 頭の回転の速さは、動きへの反応と相伴っている。”
とのことです。
どうやら、人間の動作をつかさどる脳のエリアと、物事をスムーズに考える能力は近いところにあるようです。
ただし、この結果にはちょっと違う点もあって、
大きな画面で白黒バーが表示された場合は、IQテストの成績が良い人ほど、バーの動きを判断するのが下手になる
という傾向もあったそうです。
IQが高い人は、あくまで小さな白黒バーの動きを見るのが得意で、画面いっぱいに白黒バーが表示された場合は、なぜか成績が悪くなったようです。
では、どうして白黒バーでIQがわかるのかというと、このテストは「バックグラウンドの無駄な情報を取り除く能力」が判断できるからです。
たとえば、車の運転中にいきなり子供が飛び出してきた場合、大事なのは「目の前の子供」だけで、背景のビルや通行人などはどうでもいいわけです。
この時に、背景の情報を取り除くのが下手な人は、それらに気を取られて、飛び出した子供への反応が遅くなってしまうということですね。
いっぽうで情報のフィルタリングがうまい人は、瞬時に重要な情報だけにフォーカスできるので、より素早くて正確な判断ができるということです。
この状態を、一般的に「頭の回転が速い」と表現しています。
” これまでの研究によれば、人間の脳の一部は、視覚的な情報を抑制するために働いている。”
ということで、「頭の良さ」を良くするためには、いかに無駄な情報を意識から取り除けるかが大事なのだということですね。
” 知性は非常に幅広い概念なので、脳の一部を見ても計測はできない。
しかしこのタスクはとても簡単で、しかもIQと密接にリンクしている。
また、人間の脳がどうすれば知性が高まるかについても、有力な手がかりを与えてくれるだろう。”
とのことです。
白黒バーは一つの手段ですが、情報があふれている中、重要な部分のみ切り取り判断する能力は鍛えておいてよさそうです。