トリプトファンというアミノ酸は、必須アミノ酸のひとつで、肉やブロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科の野菜にふくまれてる成分で、メンタルの安定に良いと言われています。
そのなかでも、近ごろよく言われるのが「トリプトファンは睡眠を改善するのではないか?」という説です。
トリプトファンは睡眠に必要なセロトニンやメラトニンなどのホルモンを作るのに必要なので、トリプトファンの摂取量を増やすことで睡眠が改善する可能性が高いと言えます。
実際、高タンパク食を実践すると、トリプトファンの摂取量が増えるおかげで睡眠が改善したって話も少なくないです。
ただ、高タンパク食は大型中性アミノ酸(LNAA)の摂取も増やして、これがトリプトファンが脳に運ばれるのを阻害する可能性もあります。
トリプトファンで睡眠を改善するには、食事にふくまれるトリプトファンの量よりも、食事のトリプトファンとLNAAの比率の方が重要になってきます。
というわけで、2022年に出た研究(ソース)は、「どんな食事でトリプトファンを摂取すれば睡眠の質が改善するのか?」という点を調べていて参考になりそうです。
これはシンガポールに住む中高年者104人を対象にしたテストで、以下の要素の関連性を調べた研究になっています。
- タンパク質摂取量(カロリー摂取量に占める割合)と睡眠の質
- タンパク質の供給源(動物、植物、乳製品)と睡眠の質
- 食事のアミノ酸組成(具体的には、トリプトファンとLNAAの量と相対比)と睡眠の質
って感じで、みんなの食事日記をもとに睡眠の質をチェックしたところ、結果は以下のようになりました。
- 植物性のトリプトファンの摂取量が多いほど睡眠時間が長く、トリプトファンとLNAAの比率も大きかった
- 乳製品トリプトファン(および乳製品タンパク質)の摂取量が多いほど、逆に睡眠時間は短くなる
面白いことに、植物からトリプトファンを摂取したほうが、ホエイプロテインなどよりも睡眠の質は上がるという結果ですね。
そう考えると、ブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツ、ケール、大根、かぶ、キャベツなど、トリプトファンが多いアブラナ科の野菜を多めに食べるのは良い睡眠を得られやすいということで、積極的に取り入れたいところです。