難しい問題にあたったとき、その日色々考えてどうしようもない時は、とりあえず今日は寝て明日考えようというやり方って科学的にどうなの?という話です。
2013年の論文(ソース)では、
一晩寝てから難しい問題に取り組んだグループは、休憩をしなかったグループよりも良い解決策を思いつく確率が高かったという結果があります。
2019年ノースウエスタン大学の実験研究では、(ソース)
とりあえず寝てから考えよう!の効果をさらに高める方法が見つかった興味深い内容になっています。
これは61人の学生を対象にした研究で、以下のような実験を行いました。
● 全員に超難しいパズルに取り組んでもらう(なぞなぞや立体パズルなどの問題を解く)
● その際、1つのグループはパズルを解いている間には特定の音楽(クラシック音楽など)を流し、残り半分グループはパズルは無音の状態で解いてもらいました。
パズルを2分以内に解けなかった場合は、いったんあきらめて翌日に回す。
その後、いったんパズルをあきらめた参加者たちは一晩ぐっすり眠ったわけですが、そこでさらに以下のようなことを行いました。
寝ているあいだに、パズルを解く最中に聞いてた音楽を流すということです。
翌日にパズルに再チャレンジしてもらったところ、
音楽を聴きながら寝た場合、難しい問題を解ける確率が55%アップしました!
単に一晩寝てから問題を解き直すのではなく、日中に聞いた音楽と睡眠をセットにしたほうが解決に近づきやすくなるのではないかということです。
研究チームによれば、
人間が睡眠中に記憶のリハーサルや統合を行うことはよく知られています。
そのおかげで私たちの記憶は強化され、整理整頓されます。
さらに、このプロセスは、問題と結びついたキュー(この場合音楽ですね)と組み合わせることでさらに強化されます。
これがどういう流れかと言うと、
難しい問題を解きながら音楽を聴く
脳が「難しい問題と音楽はセットなのだな」と思い込む
寝ながら音楽を聞くと、脳が「難しい問題」の記憶を優先的に処理し始める
翌日の問題解決力があがる!
みたいになります。
あらかじめ問題と音楽をタグづけしておくことで、そちらに脳のリソースを回しやすくなるということです。
問題解決は人間にとって日常的な営みです。
今回の実験では難しいパズルを使用したけど、私たちの脳の無意識の働きは、いろいろな問題を解く際にも適用できるはずです。
ということで、この実験を現実に活かすとすると、
難しい問題に取り組むときは背景に自然音や心地よい音楽を流す。
良い解決策が出なかったらいったん問題を置いておき、その夜は自然音を聴きながら眠りにつく。
自然音や自分にとって心地よい音楽を使えば睡眠の質もあがるし、翌日の問題解決能力も良くなって、素晴らしいことですね。