肉と卵の脂肪で寿命が縮む?
「飽和脂肪酸が寿命を縮める」という考え方は昔からあります。
飽和脂肪酸はバターや肉に多くふくまれる脂肪で、常温で固まるのが特徴なので、血管が詰まる原因になり、心臓病とか脳卒中を引き起こすのでは?と言われてます。
2015年の論文(ソース)は、「飽和脂肪酸って本当に寿命が縮むのか?」ということを徹底的に調べてくれています。
飽和脂肪酸に関する精度の高いデータ
これは、コクラン共同計画の研究で、過去に行われた精度が高い実験から15件を抜き出してまとめたものです。
いずれも24カ月以上の長期研究を対象にしていて、信頼度が高いと言えます。
ちなみに、コクラン共同計画は、科学的な証拠にもとづいてさまざまなデータをレビューしてる団体で、ここが出した結論は昔から品質が高いものが多いです。
この実験が確かめたのは、「飽和脂肪酸を他の脂肪に置き換えたらどうなるのか?」という疑問点についてです。
全部で5万9000人のデータを扱っていて、大きな結論を出しています。
肉と卵の脂肪で寿命が縮む?
全死亡率について
全死亡率は、あらゆる理由で死ぬ確率のことで、心疾患や癌などの病気を含みます。
飽和脂肪酸を増やしたら寿命が縮むのか?ということを確認しました。
分析の結果は、「飽和脂肪酸は全死亡率に統計的には影響なし」ということでした。
つまり、いつもの食事から飽和脂肪酸を減らしたところで、以前と同じように死ぬってことです。
心疾患の死亡率について
こちらは、心臓発作とか脳卒中で死ぬかどうかを調べたものです。世界中で寿命を縮めている2大要素です。
これも上と結論は同じで、「飽和脂肪酸を減らしてもメリットはない」とのことです。
やっぱり、普段の食事から飽和脂肪酸を減らそうが、同じように心疾患は起きるわけです。
ちなみに、心臓発作に関してだけは、飽和脂肪酸を減らすとメリットがあったそうです。
といっても、そのリスク比は0.95で、発症率が5%減るぐらいのレベルです。統計的にも有意とは言えない感じです。
循環器系へのメリットについて
といっても、飽和脂肪酸を減らすメリットがまったくないわけではなくて、
飽和脂肪酸の代わりに、魚やナッツ、オリーブオイルのような多価不飽和脂肪酸を増やした場合は、心臓や血管の健康には役立つ
ということです。
魚、ナッツ、オリーブオイルの効果は実証されているので、納得できることですね。
まとめると、
飽和脂肪酸は善でも悪でもない、ただニュートラル!
と言えるのではと思います。
世間で言われれるほど寿命を縮めるわけじゃないけど、かといってたくさん摂るのがいいわけでもない感じです。
ここから言えるのは、
- 肉や卵は避けなくてもいい
- でも飽和脂肪酸を優先順位の1位にするのも止めよう
ぐらいではないでしょうか。
とりあえず、あんま飽和脂肪酸にはこだわらず、カロリーの質が高い脂肪(添加物が入ってない、抗酸化物質が豊富)を摂取するのがベストかと思います。