脳の働きが下がりにくい人はどう違うのでしょうか?
これは2000人の男女を対象としたマンチェスター大学の研究で、1996年〜2014年にかけて2年ごとに全員の記憶力をチェックして、認知機能にどんな変化が出たかを調査したものです(ランダムに選ばれた10個の単語をどこまで覚えられるか?など記憶力をチェックしています)。
そして、脳の働きが下がりにくい人は何が違うのか?というのを調べたところ、
耳がよく聞こえる人ほど認知機能が下がりにくい
ということが分かりました。
耳がいい人ほど脳の機能がよく、さらには耳が悪い人が聴覚の治療を受けた後に、頭の働きが改善したそうです。
先日臭覚が体型に関係するという記事を書きましたが、聴覚も、またアンチエイジングという点で重要なのですね。
研究者によれば、
” 聴覚の治療をした被験者のうち、約75%に脳機能の向上が確認された。
耳の治療で認知機能の低下がふせげるとは想像していなかった。基本的に、加齢による認知の低下は避けられれないことだからである。”
ということで、研究者も驚くような結果だったわけです。
具体的な数値的には、耳の治療による認知機能の改善レベルは、10個の単語を覚えるテストでもうひとつの単語を余計に記憶できる程度だったそうです。
その点では劇的な変化とは言えないですど、おとろえはじめた脳が改善するということだけでもすごいと思います。
では、どうして聴覚がそこまで大事なのでしょうか?
” 聴覚への刺激は、脳につながる神経をも刺激する。”
という可能性を研究者は指摘しています。
さらには、
” 聞く力が衰えた人は、そうでない人に比べて速く脳の働きが低下する傾向がある。
これは、聴覚が働かないせいで社会的なコミュニケーションがさまたげられるのが大きいからだろう。
聴覚が低下すれば、親しい人とのやりとりもめんどうになるし、家族や友人との関係性も絶たれてしまう。”
と、コミュニケーションの減少も大きな原因のひとつとしてあがっています。
史上最大の幸福調査と呼ばれるハーバード成人発達研究でも確認されたように良い人間関係は幸福への最強の道なので、これが絶たれると脳機能も下がるということでしょうか。
ちなみに、2000人の男女にへ定期的に認知テストをした別の論文(ソース)によると、
白内障の手術を受けた患者の50%は認知の低下が遅くなった
そうです。
耳ほどではないにせよ視覚もコミュニケーションには欠かせない要素で、認知機能に大きく影響するということですね。
先日書いた臭覚にせよ、聴覚、視覚と私たちの基本的な感覚は脳の機能に影響を大きく与えているわけで、なるべくならこの感覚が衰えないようしておきたいものです。