AMPK(activated protein kinase)とは酵素の一種で、細胞のなかで燃料センサーのような働きをしています。
全身のエネルギーが足りなくなると、危険を察知したAMPKが働きだして、体を元気にしろ!と細胞に命令をくだすということです。
その結果、何が起きるかと言うと、
体脂肪が燃える
細胞がストレスに強くなる
オートファジー(細胞にたまるゴミを取り除くリサイクルシステム)が起動
体内の炎症が減る
という感じです。全身の細胞がエネルギーを出そうした結果、いろいろな効果が表れる訳です。
糖尿病薬が効くのもAMPKのため
ちなみに、ここ数年でメトホルミンのような糖尿病の薬が「若返りの薬である」と騒がれるようになったのも、AMPKが関係してます。
メトホルミンを飲むと、
メトホルミンがAMPKを活性化
体がエネルギー効率が良く使えるように
糖尿病が改善する
という流れです。
このAMPKの活性効果のおかげで、メトホルミンがアンチエンジングにも効くのではないかと考えられています。
AMPKが活性すると長寿になる
「AMPKと老化の関係」については、東フィンランド大学のレビュー論文(ソース)に説明されていて、
” エネルギー代謝を効率よくコントロールできると、ストレスに強くなり、細胞の働きもよくなる。
その結果として、健康寿命の改善や、寿命の延長効果が得られるだろう。 多くの動物実験でも、AMPKの増加により寿命が確認されている。”
ということです。
エネルギーがスムーズに出入りしているほうが、人体のシステムは健康的に運用されるということです。
AMPKが弱るどうなるのか?
年を取ってAMPKの活性が弱ると、
オートファジーが減る、
酸化ストレスが増える、
細胞内のストレスが増える、
アポトーシス抵抗性の増加、
炎症が増える、
体脂肪が増える、
高血糖になる、
メタボリック症候群が悪化する
等多くの影響があります。
AMPKを増やすには?
エクササイズとプチ断食は、体内のエネルギーを減らすので、AMPKが活性化します。
さらにサプリメント系はどうかと言うと、
メトホルミン&AICAR
メトホルミンは糖尿病の薬で、AICARは白血病の治療薬です。
どちらもAMPKの活性効果が認められてて、過去にはAICARを飲んだマウスが、運動もしないで持久力40%上昇という論文(ソース)も出ています。
海外からメトホルミンを個人輸入して飲む人も多いらしいですが、一方、メトホルミンは腸内環境を荒らすかも(ソース1、ソース2)という報告もあるので注意が必要です。
- アスピリン
以前の記事でアスピリンで炎症が治まるという話がありましたが、実はAMPKの活性効果もあったりします。アスピリンに抗炎症の効果があるのも、AMPKが活性したのが理由のようです。
メトホルミンよりも安全性は確認されてるものの、リーキーガットを引き起こす可能性もあるので(ソース)、やっぱり定期的な服用はおすすめしがたいです。
- クルクミン
ウコンに入っている有効成分です。
2009年の実験(ソース)によると、AMPKを活性化する効果が確認されています。クルクミンは糖尿病の治療にも使われていて、メトホルミンと作用が近い感じです。
安全性もかなり高いし、AMPKの活性のために飲むなら第一候補になりそうです。
ただし、クルクミンは吸収率が激しく悪いので、脂肪と一緒に摂るなどの調整は必須です。
- レスベラトロール
レスベラトロール(ポリフェノールの一種、サーチュイン遺伝子を活性化、ソース)も、可能性が指摘されています。
こちらはまだマウス実験でAMPKの活性が確認されたレベルなので、クルクミンほどは精度は高くないようです。レスベラトロールには、心疾患リスクを下げる効果が認められているので飲んでおいて損はないように思います。
- お茶やダークチョコレート
こちらもまだマウス実験(ソース)ですが、お茶やチョコレートのポリフェノールにもAMPKの活性作用が確認されております。その仕組みはまだはっきりしていませんが、ポリフェノールが体にいいのは間違いないので、とりあえず摂取しても問題ないでしょう。
まとめると、
治療薬系は効果が高そうだけど腸内環境の悪化に注意しないと恐い、
クルクミンやレスベラトロールは良さそうな感じです。
最強なのはプチ断食とエクササイズかなと思います。