いくら食べても食欲が止まらないのはなぜ?

人間の脳には自動でスリムな体型を保とうとするセットポイントという仕組みが備わっていますが、いったんこの機能が狂い出すと、どんなに頑張っても痩せない体になってしまいます。

その原因として大きいのが脳の混乱で、もう1つが細胞レベルの不調です。

前提として、セットポイントがきちんと動いていると、人間の体は以下のように働いて、一定の体重をキープしようとがんばります。

一杯食べると空腹感が下がり、代謝があがるので体重はそのまま。
あまり食べないと空腹感が上がり、代謝がさがるのでやはり体重はそのまま。

ところが、いったん肥満になってしまった人のなかには、いくら食べても空腹感がおさまらず、逆に代謝は下がって脂肪が燃えないという状態になったりします。

これはレプチン抵抗性と呼ばれる現象で、ホルモンのバランスが崩れた状態です。

レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、脳に「もう満腹」と伝える役目を持っています。

そのため、本当なら脂肪が多いほど簡単に満腹感を得られるはずなのですが、レプチン抵抗性がアップすると事態は大きく変わってきます。

脳がレプチンに反応しにくくなるので、どれだけ食べても食欲がおさまらなくなります(ソース)。

つまり、肥満の人というのは、見ためはいくら太っていても脳のなかは飢餓状態と同じなわけです。これでは痩せられませんね。

では、なぜ「レプチン抵抗性」という現象は起きるのでしょうか?

レプチン抵抗性の原因1:ダメージ食品

脳がレプチンに反応しなくなる原因の第一は、細胞にダメージを与える食品の存在です。具体的には、

  • オメガ6の摂り過ぎ
    オメガ6は多価不飽和脂肪酸の一種で、大豆油やキャノーラ油などに多くふくまれる成分です。

    西洋式の食事が多い人ほどオメガ6の摂取量も多い傾向があり、細胞のダメージも増えてしまいます。

    オメガ6の量が増えると、インシュリン抵抗性が高まったり(糖尿病のリスク)、甲状腺ホルモンが減ったり(慢性疲労やうつ病の原因)と、さまざまな害が指摘されています(ソース1,ソース2,ソース3,ソース4,ソース5,ソース6)

  • グルテンの摂り過ぎ
    グルテンは小麦にふくまれるタンパク質の一種です。

    もちろん、生まれつきグルテンに強い人もいるので、いちがいには言えませんが、パンやパスタを食べて飢餓感やアレルギーなどが起きた場合は、なるべく摂取をひかえた方が良いです。

  • 抗栄養素の摂り過ぎ
    抗栄養素とは、ビタミンやミネラルなどの吸収をブロックする成分です。

    これには様々な種類がありますが、主に小麦系の食品、豆類、玄米などにふくまれていて、リーキーガットを引き起こす原因になってしまいます。

    人によっては、ナッツ類でも問題が起きるケースがあるので、腸が弱い方は避けたほうが無難かもしれません。

  • トランス脂肪酸
    市販のドレッシングやマーガリンにふくまれる成分で、細胞へのダメージはかなりの最悪です。

    心臓病やアルツハイマーの原因とも言われていて、とりあえずは徹底的に食事から排除すべき食品です。

  • アレルゲン:

    これはアレルギー体質の方に限定の話ですが、アレルギー反応は体に炎症や酸化が起きている証拠なので、当然ながら細胞には大きなダメージが起きてしまいます。

    ちなみに、食品アレルギーのように、すぐには反応が出ないタイプの症状もありますから、気になる方は検査をした方がいいかもしれません。

これらの食品は、あくまでも摂り過ぎた場合に問題になるので、少量であれば、トランス脂肪酸以外はそこまで肥満の原因にはならないかとは思います。

ただし、毎日のようにベジタブルオイルで料理しつつパンを食べ続ければ、やがて蓄積されたダメージが自分の体にはね返ってくるので、なるべく量を減らしていくことが良いと思います。

レプチン抵抗性の原因2: 慢性的な過食

レプチン抵抗性が起きる原因の2つめは、慢性的な食べ過ぎです。

カロリーオーバーな食事が続くと、細胞は大きなダメージを受けることが知られていて(ソース1,ソース2)、血液中にあふれた栄養素が上手く吸収されなくなり、インシュリン抵抗性がどんどんあがって(糖尿病になりやすくなる)いってしまいます。

これはオメガ6やグルテンの摂り過ぎなどよりも深刻な状態なので、つねに食べ過ぎの自覚がある人は、プチ断食などを使って、定期的にカロリーを減らす日を作ってみたほうが良いと思います。

レプチン抵抗性の原因3: 慢性的なカロリー制限

慢性的な過食が良くないように、慢性的なカロリー制限も細胞はダメージを受けます。

確かに一瞬だけ体重は減るのですが、すぐに筋肉量が減って代謝が落ちるのでリバウンドしやすくなります。

レプチン抵抗性の原因4: 栄養不足

 意外なほど多いのが、カロリーは足りているのに、栄養素が足りなくて太ってしまうことです。

たとえば極端な低脂肪ダイエットは細胞膜の再生をさまたげて代謝を落としますし、糖質制限ダイエットも行き過ぎると甲状腺ホルモンが減って脂肪が燃えにくくなることが知られております。

同じく、 ビタミンやミネラルなどの微量栄養素の不足も、激しく体の代謝を落とす原因になりますので、緑黄野菜は積極的にとっていきたいところです。

レプチン抵抗性の原因5: 座りすぎ

椅子に座ると足の電気信号が止まって消費カロリーがどんどん減っていくうえに、脂肪を燃やす効果のある酵素の量も少なくなってしまいます。

実際、座り仕事が多い人は格段に肥満率が高いって論文(ソース)が多くあります。

さらに、ガンや糖尿病の発症率が2倍にはね上がったり(ソース1,ソース2)、

遺伝子に異変が起きたり(ソース)、

食欲のコントロールが効かなくなったりと(ソース1,ソース2,ソース3)、

良くないデータがたくさんあります。

仕事上座ることが多い人は、できる限り歩数を増やすように意識した方がよさそうです。

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