ホモシステインの増加で脳が劣化する
ホモシステインは、体内でタンパク質が使われた後に出る残りカスみたいなものです。
かなり酸化しやすい性質を持っていて、これが増えると体内のAGEsレベルが上がったり、コラーゲンの質が落ちたりと、良くない状態になります。
たいていの人は、血中のホモシステインが10 mmol/Lより下ですけど、この数値を上回っていくと危険信号で、その結果、人体に起こるのは、
- 肌の劣化
- 血管の老化
- 脳の劣化
などです。まさにアンチエイジングの大敵と言えます。
シャープな脳を保つにはホモシステイン対策が必須
なかでも大きな害が実証されているのが脳へのダメージです。
いくつかのメタ分析で、ホモシステインで脳が衰える!って結果が一貫して出ていて、
- 20431人のデータを調べたところ、総ホモシステイン値が高い人ほど脳の萎縮が認められた(2014年,ソース)
- 19件のデータを調べたところ、総ホモシステイン値が高い人ほど脳機能が低下していた(2012年,ソース)
などとなっています。
ホモシステインが増えるほど脳が縮んで、アルツハイマーの発症リスクもはね上がっていくようです
シャープな脳を保つには、ホモシステインを低めに保つのが重要です。
ホモシステインにビタミンBが効く?
では、ホモシステイン対策はどうすればいいのか?ということですが、ビタミンB群が重要とされています。
過去のデータでは、ビタミンB群が足りている人ほどホモシステイン値が低いという結果があります。
ですが、ビタミンBのサプリがホモシステインに効くかは賛否両論があります。
というのも、上で紹介したメタ分析では、いずれも「ビタミンBサプリは効かない!」という結論になっています。
ビタミンBが大事なのは間違いないものの、サプリを飲んだところでホモシステインは減らないのではないかということです。
そんなわけで、ホモシステイン対策については「バランスの取れた食事をしよう!」ぐらいのアドバイスしか言えなかったのですが、「これまでのメタ分析は間違いがあった!」というレビュー論文(ソース)が出ていて、異なる結果になっています。
ビタミンBが足りてない人にはサプリが効く
この論文のポイントは、
いままでのメタ分析は「ビタミンBが足りている人のデータ」をメインにしていた
ということです。ビタミンBが足りている人にサプリを飲ませても、変化は出にくいってことなのですね。
実際、ビタミンB不足な人を対象にした実験だけに絞ると、また違った結果が出ています。
- 50〜70代の女性800人に1日800mugの葉酸を飲んでもらったところ、3年で総ホモシステイン値が改善した(2007年,ソース)
- 心疾患リスクの高い女性にビタミンB12やB6を飲んでもらったところ、脳の機能に大きな改善がみられた(2008年,ソース)
ということで、確かにビタミンB不足な人には、サプリがちゃんと効果を発揮しています。
特に大事なのが葉酸・ビタミンB12・B6
2010年にオックスフォード大が行った実験(ソース)によると、軽度の認知症に悩む患者たちを対象に、参加者の半分に対して、
- 葉酸塩 0.8mg
- ビタミンB12 0.5mg
- ビタミンB6 20mg
を毎日2年にわたって飲み続けてもらったところ、脳の萎縮率が30%も改善したということです。これは凄いことです。
具体的な改善の流れとしては、
- ビタミンBレベルが正常になる
- ホモシステインが減る
- 脳の萎縮スピードが下がる
- 頭が良くなる!
という感じです。
これを見る限り、ビタミンB不足な方はサプリを飲んだ方が良いと思います。
いまの日本人はビタミンB12はぎりぎりで、ビタミンB6が足りない人が多い感じ(ソース)なので、ビタミンB6は補充した方がいいかもしれません。