お酒を飲むことで運動による体型改善の効果は変わるのか?

アルコールは筋肉の発達に良くない(ソース)という説は昔からあります。

というのも、アルコールには筋肉のタンパク質合成を抑える働きがあるので、飲み過ぎるとせっかくのメリットが消えてしまう可能性があります。

ですが、「運動のために禁酒が必要だ」というアドバイスは酒好きな人には辛いので、ある程度の妥協できるラインは必要かと思います。

2019年に出た研究(ソース)では、「適度な酒はどこまでトレーニングに良くないのか?」という点を検証しています。

これはグラナダ大学などの調査で、研究の目的は、

” 高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、体型を改善するための効率が良いテクニックとして推奨されている。

しかし、同時に活動的にHIITを行う人はビールを飲むのが好きな傾向があり、そのせいでHIITの効果が妨げられてしまう可能性がある。”

みたいになります。

以前にHIITには色々なメリットがあって、時間もかからないという記事を書いていますが、果たしてその効果は酒を飲んでも保たれるのか?という疑問です。

食欲抑制にアンチエイジングまでHIITは素晴らしい!

研究チームは24歳プラスマイナスの6歳の健康な男女72人を集めて、以下のようにグループを分けました。

  1. HIITトレーニングをしつつビールを飲む
  2. HIITトレーニングをしつつウォッカを飲む
  3. HIITトレーニングをしつつノンアルビールを飲む
  4. HIITトレーニングをしつつ炭酸水を飲む
  5. トレーニングをしない

ドリンクを飲むグループは、月曜日から金曜日まで、男性は昼食時と夕食時にそれぞれ330mLを摂取し、女性は夕食時にのみ330mLを摂取したということです。

エタノールに換算すると、男性は1日24~36gで女性は12~24gぐらいなんで、だいたい1日1〜3杯ぐらいの酒に相当します。ほぼ健康には影響しないレベルという感じですね。

またトレーニングの回数は週2日で、週あたりのトータルは40〜65分。RPE(自覚的運動強度)で8ぐらいの強度(かなりきつめのレベル)を目指して、ニーアップやらスクワットやらバーピーなどの種目をサーキット形式でやるタイプのHIITを採用しています。

体組成の変化については二重X線吸収法(DXA)を使っていて、体重はもちろん内臓脂肪率や筋肉もわりと正確に測定されています。

10週間後の結果は、

  • トレーニングをしたすべてのグループで、脂肪量の有意な減少と除脂肪量の増加が見られた
  • 酒を飲もうが飲むまいが、体重、ウエストサイズ、ウエストとヒップ比、内臓脂肪、骨密度に目立った違いはみられなかった
  • ただし、内臓脂肪については、ノンアルコールビールと炭酸水グループのみ減少が見られた(ただし有意差ではない)

となっています。

つまり、ビールでもウォッカでも、1日1〜4杯程度であればHIITによる体型の改善効果には悪影響が出ないということです

この実験にも難点はあって、

  • 参加者が少ないのに5グループにも分けているので、意味がある違いを確認できなかった可能性がある
  • 10週間っていう実験期間では、体組成の変化が起きるには十分じゃないかもしれない
  • ラボの外での食事や運動の記録が取られてないので、その点で違いが出たかもしれない

といった点は判断が難しいかもしれません。

ですが、アルコールと体組成については過去にも同じような結果の系統的レビュー(ソース)がでていて、このレビューによれば、

  • 1日に4杯以上も飲まない限りは体重には影響を与えない
  • 1日1〜2杯ぐらいであれば逆に体重の増加を防ぐかもしれない(特に赤ワインの効果が大きい)

という結果が出ています。

その点で今回のデータは先行研究とも整合が取れてるので、おそらく適度な酒ならHIITの効果には影響がないという感じです。

お酒好きで運動好きな人には朗報ですね。くれぐれも飲みすぎには注意です。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *