「休みの日に働くと内発的モチベーションがなくなる!」という論文がハーバードビジネスレヴュー(HBR)に出ています(ソース)。
内発的モチベーションは「この仕事は楽しい」とか「この仕事は意味がある」「興味深いな」と思えることで、高いパフォーマンスを維持するために欠かせない心理状態です。
これは1298人のアメリカ人を対象にした調査で、FWIの調査データを使っています。
ここでは、
- 週末にどれぐらい働いたか?
- 内発的なモチベーションはどれぐらいあるか?
といった点を調べたうえで、収入や教育レベル、生活満足度などの要素を調整しています。
休日仕事とモチベーションの関係にしぼって関係を見ると、
休日にも働いている人ほど仕事の内発的モチベーションが低い!
という傾向があったということです。
つまり、休みの日も働くと「自分の仕事には意味がある」とか「自分のスキルを仕事に生かしてる」という気持ちが失われやすくなるというわけです。
また、ここでは学生にも似たような調査をしたところ、こんな結果も出ています。
その日が祝日だとわざわざ告げられた状態で勉強した学生は、その日が祝日だと強調されなかった学生に比べて内発的モチベーションが低下した(「勉強の内容が楽しくない」と答える割合が大きくなったらしい)。
要するに、
「いまほかの人は遊んでるんだな」という意識がモチベーション低下の原因
ということです。
アメリカの祝日はすべてのオフィスがクローズになるクリスマスのようなものと、一部開いているコロンバスデイみたいなものがあって、その一部開いてる祝日にオフィスに行くときの気分はバスや地下鉄はほぼがらがらの状態でまさにこれでした。
このような現象が起きる理由について研究チームは、以下のようなメカニズムを推定しています。
- 大抵の人は、個人が持つ時間を「仕事」または「余暇」のどちらかに心の中で割り振っている
- しかし休日に仕事をすると、心の中の割り振りに矛盾が生まれる
- 予想と現実に食い違いが生まれたせいで、いまの仕事に魅力を感じられなくなる
予想と現実の差異によってメンタルが負荷を感じるのでは?みたいな考え方です。
ちなみに、こういった「脳内が自動的に分類する現象」はお金の世界でもあって、
- 給料はかたくなに貯金して使わないのに、予期せぬタイミングで手にした保険金は散財してしまう
- トイレットペーパーは少しでも100円でも安いものを買うのに、旅先のディナーは1000円の追加料金も考えずに払う
みたいな現象が良く見られます。
要するに心の中で「生活費」と「それ以外の好きに使うお金」を自動的に分類してて、気づかないうちに行動が左右されてる状態です。
いわゆるメンタル・アカウンティングと呼ばれますが、私たちは「時間」に対しても似たようなことをしてるということなんですね。
さらに、研究チームは、この「休日仕事でモチベーション下がる問題」については、
休みの日でも「これは仕事の日なのだ」と自分に言い聞かせればいいのでは?
という手軽な提案をしています。
本来は休日はちゃんと休むのがベストですが、どうしても働かねばならないときは認知を変えるしかないってことかもしれません。