オメガ3が多く含まれる魚は体に良いと言われていますが、
マグロのような大きな魚は水銀を多く含んでいて食べすぎると体内の炎症があがり、心臓病の可能性が高くなるのではという研究結果もあります。(ソース)
ですが、2011年のハーバード大学公衆衛生大学院などが行った大規模な調査(ソース)では、
魚で水銀の量が増えても病気のリスクは上がらないのではないか?
という結論になっています。
マグロを毎日食べることはないですが、魚好きには朗報ですね。
研究内容は、
- HPFSという大規模な研究データから男性5万1529人、NHSという別のデータから女性12万1700人を選び、みんなのライフスタイルや食習慣を調べる
- 調査期間中に「心臓病や脳卒中にかかった人」と「心臓病や脳卒中にかからなかった人」を約7000人を選び、足の爪から体内の水銀濃度を測定(足の爪の水銀濃度は、長期的に水銀をどれぐらい取り込んだかの良い指標になる)
となっています。
HPFSとNHSはどちらも大規模な健康調査として有名なデータセットで、研究としてはかなり大がかりです。
研究チームによれば、
” 2つの異なるデータから得られた今回の大規模な分析は、水銀による曝露が心血管の疾患に影響を与えるかどうかに関する、これまでで最も強固な証拠を提供するものである”
ということで、類似研究のなかでは信頼性が高いと言えそうです。
結論をまとめると、
- 水銀濃度が上位20%に入る人は、爪の水銀の平均値は1グラムあたり0.7マイクログラムだった
- 水銀濃度が上位10%に入る人は、爪の水銀の平均値は1グラムあたり1.0マイクログラムだった
- 年齢、性別、その他の心血管疾患リスク要因を調整したところ、水銀濃度と心血管疾患リスクの上昇との間に相関は認められなかった
- というか、水銀濃度が高い人ほど心疾患リスクが下がる傾向も見られた(もちろん、これは水銀が体にいいって話ではなくて、魚を食べてるせいで心疾患リスクが低いのだと思われる)
- 自己申告による魚やオメガ3脂肪酸の摂取量を調整しても、水銀濃度は心血管リスクの上昇とは相関しなかった
となっています。
思ってたよりも水銀の影響がありませんね。
研究チームによれば、
” 今回の結果は、魚を食べるかどうかを決める際に、水銀による心血管への影響を心配する必要はないことを示唆している。
2010年版のアメリカ食生活指針でも、『推奨される量の様々な魚介類を摂取することによる健康上の利点は、メチル水銀に関連する健康上のリスクを上回る』と結論づけ、ほとんどの米国人は『肉や鶏肉の代わりに魚介類の摂取量と種類を増やすべきである』としている。今回の結果は、この指針を強く支持するものである。”
とはいえ、これは水銀はすべてにおいて問題がないというわけでなく、
” 水銀への曝露は、乳幼児期の神経発達など、他の有害な影響を及ぼす可能性があるため、環境中の水銀を削減するための公衆衛生上の努力を継続すべきである。”
という注意もつけくわえられていました。
水銀が子供の神経発達に悪影響を及ぼす可能性は十分にあるので、妊娠中または妊娠の可能性がある女性は、ぜひ水銀濃度の高い魚は控えた方がよさそうです。