魚の油が体にいいというのは良く知られていて、実際の臨床データも多いですが、いっぽうではオメガ3脂肪酸は酸化に超弱いのが難点です。
で、2015年に出た論文データ(ソース)では、フィッシュオイルの量と効果について調べています。
これはサンパウロ大学の研究者らによる実験で、「フィッシュオイルの量によって効果に違いは出るのか?」を調査したものです。まずは38匹のマウスを以下の5グループに分けました。
- 体重の63%にあたる果糖を摂らせたうえで、2%のフィッシュオイルを飲む
- 体重の63%にあたる果糖を摂らせたうえで、5%のフィッシュオイルを飲む
- 体重の63%にあたる果糖を摂らせたうえで、7%のフィッシュオイルを飲む
- 体重の63%にあたる果糖だけを摂る
- いままでどおりの食事をする
つまり、大量の果糖で肝臓にダメージをあたえたうえで、フィッシュオイルの量を変えてみその効果を確認したということです。
すると、60日後の結果は、
- 2〜5%までのフィッシュオイルを飲んだグループは、中性脂肪や脂肪肝の数値が下がった
- ところが、7%のフィッシュオイルだと逆に脂肪肝が悪化した
ということになりました。
2〜5%までは順調に数値が改善するんだけど、7%を超すと一気に逆影響が出てしまったということです。
7%のフィッシュオイルを人間に換算すると、1日5gぐらいになります。
その原因は明白で、フィッシュオイルの摂り過ぎが体内の炎症を増加させてしまうからです。
TNF-αが7%のフィッシュオイルを飲んだグループだけ突出して増えていて、フィッシュオイルを飲まなかったグループよりも、激しく状態が悪化してます。
TNF-αは身体に炎症を起こすサイトカインの一種で、適量なら腫瘍を治してくれるありがたい物質ですが、ところが分泌量が増えすぎると体に炎症を起こし、老化スピードが上がる原因になってしまいます。
フィッシュオイルを飲み過ぎると体が処理しきれなくなり、余った分が体内で酸化ダメージを受けて腐敗し、その結果、体内に炎症を引き起こしてしまうようです。
もちろんこれはマウス実験ですが、過去の研究(ソース)では、1日2g以上のフィッシュオイルを飲んだアスリートは酸化ストレスが増加し、逆にパフォーマンスが低下したという結果も出ているので、フィッシュオイルの摂り過ぎにはかなり気をつけたほうが良いようです。
フィッシュオイルの上限値ははっきりしてないのですが、とりあえず1日2gまでを上限にして、心配な方は1gまでにしておくのが無難かもしれません。
いずれにせよ、オメガ3は魚で摂ったほうが安全なのは間違いないですし、サプリを飲む前に体の炎症を促進する脂肪酸であるオメガ6を減らすことが重要なので、注意してオメガ3を摂取する必要があります。
オメガ6は、肥満やアレルギーの原因とも言われていて、体内でオメガ3と激しい権力争いをしていて、片方の量が増えると、もういっぽうの力が弱まってしまう関係にあるからです。