いつもより就寝と起床を1時間ずらすとうつ病リスクが23%も改善!?

早起きな人はメンタルが健全であるというのは、過去の観察研究で見られる傾向です。

たとえば、1日に8時間寝る人を比べた場合でも、朝8時に起きる人よりは朝7時に起きる人のほうがうつ病にかかりにくかったりします。

ある観察研究では、夜更かしをする人は早起きをする人の2倍もの確率でうつ病になるとまで言われています。

ただ、ここで謎なのは「メンタルを改善するためにはどれぐらい早起きすればいいのか?」というポイントです。

当然ですが、いくら早起きが良いといっても夜型の人が午前5時に起きたり、すでに朝早く起きている人がさらにもっと早く起きるのは現実的ではないので、最低限のレベルは知りたいところです。

2021年に出たデータ(ソース)は「どれぐらい早起きするとどれぐらいメンタルに影響するのか?」を調べてくれていて役に立つと思います。

これはハーバード大学などの調査で、84万人ほどの男女に行われた遺伝子データと大うつ病の診断に関する調査を含む別のサンプルを使用しています。

ここには睡眠計測器を7日間装着したデータ8万5000人分と、睡眠の好みに関するアンケート25万人分が含まれていて、様々な方向から睡眠と起床のタイミングがどのような影響を与えるかを、1時間単位で細かくチェックしています。

参加者の睡眠の傾向は、

  • 参加者の約3分の1が「朝型」、9%が「夜型」、残りは「中間型」だった
  • 平均的な睡眠のスケジュールは、午後11時に就寝して午前6時に起床するパターンだった

だったそうです。平均を取るとすでに早寝早起きですね。

すべてのデータを含めて、どんな結論が出たかと言うと、

  • 早起きに遺伝子を持ってる人は、やはりうつ病のリスクが低かった
  • 睡眠の中間点(就寝時刻と起床時刻の中間点)を1時間早めるごとに、大うつ病のリスクが23%低下する可能性がある

ということでした。

つまり、いつもは「午前1時の就寝で8時間の睡眠」な人が、「午前0時の就寝で8時間の睡眠」に切り替えればメンタルが悪化するリスクを23%削減できるということです。

さらに「午後11時の就寝で8時間の睡眠」に切り替えた場合は約40%もリスクを減らせるかもしれないわけです。

これはなかなかすごい数値じゃないでしょうか。

ただしこれは「際限なく早起きするのが良い」って話ではなく、たとえば現時点で朝5時に起きてる人が朝4時起きに変えても同じ効果を得られるのかは不明です。

あくまで現時点で半端に早起きの人とか夜型の人であれば、寝床に入る時間を早めたほうがいいかもということです。

ちなみに、「どうして早起きするとメンタルが改善するのか?」というと、研究チームの推測としては、

早起きの人は日中に浴びる光の量が多いからでは?

ということになってます。

太陽光を浴びる量が多いおかげでホルモンバランスやビタミンDのバランスが改善し、それでメンタルが低下しづらくなるのではないかという仮説ですね。

そのためチームは「朝は明るく!夜は暗く!を徹底しよう」と提唱していて、

朝のコーヒーはベランダで飲みましょう。できれば徒歩や自転車で通勤し、夜は電子機器を暗くしましょう。

と言っています。

とりあえずそれほど早起きでない人なら、試しにいつもより就寝と起床を1時間ずつずらしてみるのはいいかもしれません。

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