スポーツは心身に良いというのは知られていますが、新たに「スポーツは見るだけでもメンタルに良い!」との研究(ソース)が出ててスポーツをしない人にも参考になりそうです。
これは筑波大学などが行った2021年の調査で、日本老年学的評価研究というプロジェクトのデータを使ってます。
全国60以上の市町村から約30万人の高齢者を定期的に調査して、普段の運動量、メンタルの状態、食事の質なんてのをチェックしてる大規模なデータです。
今回は、このデータから「いつもどれぐらいスポーツを見てますか?」って質問に答えた約2万人の参加者をピックアップして、スポーツ観戦と幸福度の関係を見ています。
スポーツの試合を見にいく人はメンタルの状態がいい!という研究はありますが、テレビで見た場合はどうなのか?という疑問を調べたものはなかったので、面白い研究ではないかと思います。
で、分析の結果をまとめると、以下のようになります。
試合会場に出かけてスポーツを見る人の場合
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年に2〜3回ぐらい試合の会場に出向いてスポーツを観戦する人は、まったくスポーツを見に行かない人に比べて、「メンタルが低め」になる確率が20%ぐらい低かった
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試合会場でのスポーツ観戦の回数が月に1~3回ぐらいの人も、やはり「メンタルが低め」になる確率が21%ぐらい低かった。
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ただし、試合会場でのスポーツ観戦の回数が週に1回以上ぐらいながちなファンは、なぜかメンタルの状態が低下する確率は、スポーツを見に行かない人と変わらなかった
テレビとかネットでスポーツを見る人の場合
テレビやネットでのスポーツを観る人は、
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- 観戦の回数が年に数回の人は、メンタルが低下する確率が8%ぐらい低かった
- 観戦の回数が月に1~3回の人は、メンタルが低下する確率が11%ぐらい低かった
- 観戦の回数が週1回以上の人は、メンタルが低下する確率が17%ぐらい低かった
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ということで、試合会場に行くかテレビで観るかを問わず、スポーツを観るだけでメンタルが悪化する可能性は低くなるようです。
研究チームによれば、
” テレビやネットでスポーツを観戦する回数とメンタルの健全さには、見れば見るほど良いという傾向が認められた。
テレビの視聴については健康への害が強調されがちだが、メンタルとの関連については違う効果があるのかもしれない。”
ということで、スポーツファンには嬉しい結果になります。
ここで気になるのは「なんでスポーツ観戦でメンタルは改善するのか?」という点かと思います。
自分が体を動かせばメンタルが健全になるのはわかるけど、どうして観るだけでもOKなのか?ということですね。
この疑問についても研究チームは媒介分析をしていて、
スポーツを観戦する人は友人の数が多く、メンタルが改善する理由の9.6~23.7%はそれで説明できる
という結果になってました。
人間の幸福を決める最大の要因が人間関係なのは周知の事実ですが、スポーツ観戦がその一助になってるということですね。
ひとりでスポーツ観戦するよりは、仲間とワイワイやってた方が楽しいですから。
ちなみに、この研究では「スポーツ観戦とメンタル」に関する先行研究も紹介されていて、高齢者の方々に「プロ野球の試合を見に行ってみたらどうか?」と勧める実験もあって、2ヶ月の間に6回ほどスタジアムまで足を運んだ人たちは、抑鬱の症状が軽くなったとのことです。
テレビを見るだけでも改善するなら、好きなスポーツを見ることに時間を取るのはいいことではないでしょうか。
ちなみに、普段見ないスポーツでもオリンピックになると色々見てしまいますね。そしてなんだかんだ言いながら観戦するのは楽しいものです。