「スマホに夢中なのは鬱の兆候かも」というデータ(ソース)が2019年にでていて、これは346人の男女(年齢は若め)を対象にした調査で、
- 普段からどれぐらいスマホを使っているか?
- うつ病や孤独感のレベルはどれぐらいのものか?
をチェックした後、3カ月〜4カ月の追跡調査を行ったものです。
その結果がどうだったかと言うと、
スマホに夢中なのは鬱の兆候かも
- スマートフォンを使いすぎている人ほど、3カ月〜4カ月後にうつ病と孤独感のレベルが高くなっていた!!
- 一方で、うつ傾向だったり孤独感が強いからといって、スマホの使用量が増える現象は確認されなかった
だったそうです。もちろんこの結果から「スマホが鬱の原因に!」って結論を下すのは無理ですが、可能性としてはありえそうです。
研究チームによると、
” もしスマートフォンの依存がうつと孤独をもたらすのならば、スマートフォンの依存度を減らして、幸福度を維持または改善することができるだろう。
若い成人は人生の過渡期にあるため、精神衛生上の問題のリスクが高い。
10代後半の若者はスマートフォンに依存しやすくなるのかもしれないし、うつ病や孤独感に弱いせいで、他の世代よりもスマートフォンの悪影響を受けやすいのかもしれない。”
ということです。
個人的にはスマホは使い方次第でとても効力がありますが、スマホがないとイライラするとか不安になってしまう人は注意が必要ですね。
情報社会では人間の注意力がもっとも重要な資産である
スマホ依存の研究で有名なのは2010年にメリーランド大学が行った実験(ソース)で、試しに200人の生徒に24時間のデジタル断食をさせたところ、大半が不安や焦りといった禁断症状を訴えたそうです。
昨日の記事では、スマホをチェックしたり、ラインなどのNotificationをオンにしていると集中力が途切れ、作業効率がさがり、ミスが増えさらにストレスも増えるという話をしましたが、便利すぎるだけにスマホとはうまく付き合わないと大変なことになりそうです。
マルチタスクの害については昨日の記事に書いたように、人間の脳は同時作業ができるように作られていないから起きることです。
これは、思ったより深刻な話で、2011年の実験(ソース)ではマルチタスクで脳の短期記憶がダメージを受けることが分かっていて、結果としてつねに刺激を求める誘惑に弱い人間になってしまうそうです(ソース)。マルチタスクが人間のセルフコントロール能力を下げてしまうことになるのです。
近年の心理学上では、セルフコントロールが最も大事な能力だと言われていて、目先の欲望を追わない人のほうが結果的に幸せになれるとのデータも出ています。
セルフコントロールは瞑想やエクササイズによって鍛えられますが、スマホによるマルチタスクが能力の向上をさまたげてしまうわけです。
ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンさんが、「情報量が激増する社会では、人間の注意力こそがもっとも重要な資産になる」と指摘しています。スマホは使い方次第ではその重要な注意力を阻害してしまうことになってしまうのです。
スマホで不安やうつ症状、恐怖症が悪化する
やはり深刻なのが、スマホとメンタルヘルスの問題です。
2013年の実験(ソース)によると、318人にスマホの利用度と心理状態をたずねたところ、SNSやゲームに夢中になっている参加者ほど社会不安とうつ病傾向のレベルが高いとの結論が出ています。
2011年の研究(ソース)でも似たデータが出ていて、ネットの利用時間が長い学生は、うつ症状や不安、攻撃性、恐怖症といったネガティブな精神状態になるケースが多かったそうです。
スマホがメンタルヘルスを損なう原因については色々あるのですが、
- SNSのせいで他人への嫉妬が増幅するから
- SNSは「時間のムダ」と感じやすいから
- そもそもネットのストレスに弱い性格の人がいる
などがあげられます。
特に「FOMO(SNSに取り残される不安)」という専門用語まで出てきて、ちょっとした現代病みたいになってます。
さらに2011年の研究(ソース)では、家に帰ってからもスマホを使い続ける人は仕事のストレスが回復されないそうです。
EメールやSNSのせいで心理的に仕事とプライベートが切り離されず、そのせいでワークライフバランスが崩れてしまうようです。