歳を取ると脳が縮むのはよく知られた事実だと思います。
だいたい40代ぐらいからゆっくりと脳細胞が小さくなっていく傾向があります。
2009年や2015年の研究では、「実際は脳の劣化ってもっと早い時期から起きるのでは?」(ソース1,ソース2)という見解もいくつか出てていて、
- 中年期の脳の健康状態は、20代〜30代をどう過ごしたかに左右される
- ほとんどの人は、20代半ばぐらいから空間的な視覚の能力と推論力が下がりはじめる
- さらに30代の初めぐらいには、記憶力と推理力が低下しはじめる
- 30代半ばぐらいには情報処理スピードの低下が起きる
という感じです。
もちろん、これらの減少は40代からの悪化スピードと比べるとわずかですが、とりあえず早めに対策することに越したことはないでしょう。
さて、こうなると脳の劣化を食い止めるにはどうすればいいのか?ってのが気になるとこですが、CARDIAという有名なデータセットを使った調査が2つほど出ています(ソース1,ソース2)。
1. 頭を使う仕事はやはり脳に良い
使わない筋肉は衰えていくように、脳もやっぱり使わないと衰えていきます。
その点でやはり普段から認知機能を使う仕事についてる人は、歳をとっても情報処理が速いし、精神の柔軟性も高い傾向が見られます。
では、具体的にどんな仕事が脳に良いのかと言うと、
- 情報の精度を評価するような仕事
- 情報処理と分析を行う仕事
- 商品やサービスのクオリティを判断するような仕事
- 意思決定と問題解決が多い仕事
- 創造性が必要な仕事
- 目標と戦略の決定が多い仕事
という感じで、とにかく「ものごとを考える仕事は脳に良い」と言えますね。
これは観察研究なんで因果関係は分からず、「たんに頭が良い人が負荷が高い仕事についてるからでは?」という可能性も否定はできないのですが、他の研究でも「認知負荷が高い作業は脳を健康にする!」という傾向があるので、間違いではないようです。
2. テレビを見すぎてる人は脳が劣化するかも?
20〜30代ぐらいに1日3時間以上ぐらいテレビを見てる人は、25年後に情報処理スピードと精神の柔軟性がかなり下がってたそうです。
具体的には、
- テレビをたくさん見てて運動不足な人
- テレビをほぼ見なくて運動してた人
という2つのグループを比べた場合、テレビをたくさん見てて運動不足な人は、25年後に認知機能が低下する可能性が2倍だったということです。
これは「テレビは悪だ」というより、テレビを見ることが、
- 日ごろの暮らしで認知への負荷をかけてない
- ちゃんと運動をしていない
という事実につながってるということですね。
その意味で言えば、今はスマホとかYouTubeの視聴時間が脳の老化を進めている可能性があります。
頭を使う仕事とテレビの視聴時間の2つは、昔から「中高年の脳の老化と相関する」と言われてきた要素です。
が、上記の2つの研究は、「仕事とテレビは20代の脳にも影響する」という可能性を示したところが重要だと思います。
やはり、先日書いた記事に似てますが、エクササイズは脳にとってかなり重要な刺激ということが言えそうです。
それに加えて頭を使う事を日常行うと脳の劣化は防げそうです。