やる気をキープさせるためにはタスクシフトが大事

意志力は、目の前の欲望を抑えて長期的なタスクに取り組める能力のことです。

要はセルフコントロール能力と同じですね。

これまで「WILLPOWER 意志力の科学」などでは「セルフコントロール力は使えば使うほど筋肉のように疲労していく」というのが定説でしたが、近年では確認されないケースが多くなってきています。


例えば、意志力を使えば使うほどエネルギーが増えるというデータも2017年に確認されています。(ソース)

意志力が減るように見えるのは、たんに思い込みとモチベーション変動のせいだって考え方です。

どっちが正しいかはまだわからないですが、2017年に出たデータ(ソース)では、また「意志力は減らない」派に有利な内容でした。

これはトロント大学の調査で、1万7621人の学生を対象にしたものです。

実験期間は17週間で、全員に学校の勉強や試験対策用のオンラインプログラムを受けてもらい、それぞれの参加者がどれだけアクセスを続けたかをチェックしました。

まず意志力の低下については、

” もちろん誰でも特定のタスクを長時間やり続ければ疲れるものだが、いっぽうで1日を通してタスクをやりとげる能力やモチベーションが減っていくという証拠は見つからなかった。”

” これは、従来のセルフコントロール実験がすべて間違いだったという意味ではない。しかし、少なくとも今回の調査では、意志力が減る現象は確認されなかった。”

ということで、やはり今回の実験でも、意志力が減っていくような現象は確認されませんでした。

ひとつのタスクをやり続けると意志力は下がる

代わりに何がわかったかと言うと、

  • 記憶力をよく使うようなタスクを続けるほど参加者のパフォーマンスは低下した
  • たいていの参加者は30分あたりから能力の低下が始まり、50分で完全にセルフコントロール能力はぐだぐだになった

みたいな感じです。

つまり、パフォーマンスが下がるような事態が起きても、それは意志力が筋肉のように消耗したわけではなく、単に脳への負担が大きいタスクを長く続けたのが原因なのではないかということです。

実際、この実験では、ひとつのタスクを行なって消耗した参加者でも、ほかのタスクに切り替えたら再びモチベーションとパフォーマンスが向上する傾向が見られたそうです。

意志力が減ったと思っても、実はちゃんと別のモチベーションが眠ってるわけです。

マルチタスクではなくタスクシフトが大事

これは「マルチタスクをすると生産性が下がる」(ソース)こととは別の話で、あくまでひとつのタスクに対してはすべての注意力とエネルギーを注ぐのが一番です。

一回の作業のなかで注意力を分散させるのではなく、集中したひとつのタスクを別のタスクに切り替えようということです。

いわばマルチタスクではなくてタスクシフトが重要ということです。

今回の実験から分かったことは、

  • 私たちは1日を通してひとつの作業をやり続けられるだけのモチベーションはない
  • ただし、タスクの内容を別のものに変えるか、作業時間をちゃんと最大50分までのブロックに分割すればセルフコントロール能力とモチベーションは復活する

という感じです。

いっぽうでは「いろんなタスクをやるごとに意志力は減る」というデータもかなりありますが、今回の実験は現実的な設定で24時間ごとの意志力変動をチェックしたのが強みかと思います。

2013年の実験で、「意志力は使うほど減る」と思ってる人は本当にセルフコントロール能力が下がる(ソース)という結果があるので、あまり意志力が低下するかどうかは気にしないほうが良いということですね。

それよりも自分のモチベーションをちゃんとマネージメントできるようなタスク調整(タスクシフト)を行なったほうがうまくやる気をキープできそうです。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *