「自分が体験したネガティブな経験を、感情や思考を包み隠さず書き記す」 という筆記開示という方法はメンタルにいいと多くの実証データがあります。(ソース1、ソース2)
具体的には「自分の悩みを包み隠さず書いていく」だけで、これを1日20分ずつ数週間ほど続けると幸福度が上がると考えられております。
ネガティブな感情を外に書き出すことで客観性が生まれ、自分のなかに溜め込むよりも対処がしやすくなるようです。
というわけで、かなり手軽で効果の高い方法ですが、2017年に出た論文(ソース)では「たった8分でも大幅にメンタルが改善する!」という結果がでています。
8分だけネガティブな感情を書く
これはミシガン州立大学の実験で、心配性に悩む学生44人を対象にしたものです。
PSWQという定番のテストで61点以上を取った人たちで、心配性レベルはかなり高いです。
で、実験では全体を2つのグループにわけて、
- 8分だけ筆記開示
- 8分だけ前日に起きたことを書く
という作業をしてもらいました。
筆記開示の方法はシンプルで、たんに自分のネガティブ感情をありのままに書いただけです。
「あいつがムカつく!」とか「自分は最低だ!」みたいなものを思うままに記すようなイメージです。
筆記開示グループは脳の利用効率があがる!
その後、みんなにはフランカータスクという脳トレ系のテスト(モニタに現れる矢印の向きを素早く答える)をやってもらい、同時に全員の脳の働きをEEG(脳内の電気活動を記録)で計測しました。
すると、両グループにははっきりした違いが出て、
- 筆記開示をしたグループは
- フランカータスクの成績が向上!
- 脳のリソース利用効率が上昇!
という結果でした。
つまり筆記開示をすると、より脳が労力を使わずに認知の働きがよくなったということです。
心配性の脳はいつもマルチタスクをしている
研究者によれば、
” 心配事は認知のリソースを食ってしまう。要するに、心配事が多い人というのは、つねにマルチタスク作業をしているようなものだ。”
” 彼らはひとつの作業をしながらも、もういっぽうでは自分の心配事をモニタリングしつつ、その感情を抑えようとしている。
しかし、筆記開示で心配事をいったん外に吐き出せば、認知のリソースは解放され、もっと脳を効率よく使えるようになる。”
” 筆記開示は、ワーキングメモリ(記憶の一時貯蔵庫)から「心配」という荷を下ろす役割を果たす。
その結果、「心配」が認知機能の働きを低下させるのを防ぐことができるのだ。”
ということです。
マルチタスクが作業の効率を下げるのは良く知られていると思いますが(ソース)、心配事が多い人の脳は、ひとつの作業に集中してるつもりでも自然と複数の仕事をしてるということなのですね。
2016年にも「ワーキングメモリの性能が高い人ほどメンタルが健康で頭がいい!」(ソース)という論文があって、やはり記憶の容量に適度な空きを作ってあげないと、脳が一杯になってしまうんですね。