普通の人がグルテンを抜く意味はあるのか?
グルテンフリーは、そのままで、「グルテンは食べない!」という食事法のことです。
グルテンは小麦にふくまれるタンパク質で、 これが体の老化や不調を引き起こすと言われています。
そもそもはセリアック病(グルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患)みたいな難病のためにできたメソッドですが、ここ数年で「普通の人でもグルテンは抜くべき!」みたいな風潮が出てきています。
「普通の人がグルテンを抜く意味はあるのか?」という点については、まだ決着がついていない感じです。グルテンに弱い人には効果が大きいだろうけど、万人にメリットがあるのかどうかは明確ではないです。
この点は研究データもばらついていて、特定のアレルギーがなければ小麦を食べても問題ない!という論文があったり(ソース)、「やっぱ普通の人でもグルテンは良くない!」みたいな話も出てきたりとか(ソース)しています。
2014年に、「グルテンで体調を崩す人って、実はグルテンじゃなくて特定の食物繊維に弱いだけは?」という説(ソース)も出たりして、まとまりがつかない状態ですね。
とにかく、
- 科学的には、「グルテンフリーが普通の人も有効かどうか?」は誰にも断言できない
- つまり、「グルテンが老化の原因」という説はちょっと胡散臭い
- いっぽうで、「グルテンフリーは無意味」とも言い切れない
という感じです。
グルテン過敏症はリーキーガットが原因では?
そこで2016年に「リーキーガットがグルテンフリー問題の真相では?」という論文(ソース)が出ています。
これはコロンビア大学の実験で、グルテンで悪影響が出やすい人と出にくい人の違いはなにか?という疑問を調べたものです。160人の参加者を対象にして、その内訳は、
- 80人=健康体なのにグルテンに弱い人
- 40人=セリアック病にかかっている人
- 40人=グルテンをとっても不調が出ない健康な人
となっています。それぞれにグルテンをとってもらい、みんなの炎症反応をチェックしました。
そこで起きた現象は、
グルテンに弱い人たちがグルテンをとると
-
- 腸内のダメージを示す数値があがった
- 体内の毒素の量が一気に増えた
- 悪いバクテリアへの抗体も増えた
- 全身の慢性炎症のレベルがあがった
グルテンと体内の毒素の量が連動しています。
ここから推測できるのは、実は「グルテン過敏症ってリーキーガットが引き起こす症状のひとつではないのか?」ということです。リーキーガットは腸に細かな穴が開いてしまう状態です。
実際、この実験では、グルテンに弱い人にグルテンフリーを続けてもらったら、半年でリーキーガットと炎症が同じように改善していったということです。
つまりは、
- リーキーガットさえなければ、うどんやパンを食べても何の悪影響も出なさそう
- いったんリーキーガットが起きると、グルテンで腸ダメージがさらに悪化する可能性が大きい
という感じです。
そう考えると、腸が健康な人がグルテンフリーを試す意味はあまりなさそうです。
たとえば「地中海式ダイエット」(野菜をたくさん食べて加工食品や精製穀物を避ける、全粒粉はOK)は、日常的に大量のグルテンをとるにも関わらず、健康にはすばらしく良いわけですから。
普段から腸に優しい暮らしをしていれば、全粒粉にふくまれる食物繊維のメリットのほうが大きいということなのでしょう。
以上のことから、「自分の腸に自信がなければグルテンフリーをやろう!」というのが結論です。