「「幸せをお金で買う」5つの授業」という本は、どういうお金の使い方をすると幸福を感じられるかについて心理学的見地から説明してあります。
著者はブリティッシュコロンビア大学の心理学の教授で、タイトルどおり幸せになるための科学的に正しいお金の使い方について述べた一冊です。
ポジティブ心理学がすすめるお金の使い方の知識がコンパクトにまとまっているので、幸福学関連の本になじみがない方にはおすすめです。
この本が提案している、幸せをお金で買う5つの授業は、以下のようになります。
1.経験に金を使う
人間の脳は物よりも体験のほうが慣れるのが遅いので、幸福感を長引かせることが可能になります。
長期的にみても、思い出に残る体験をしたほうが、時間とともに記憶が書き換えられていき、結果的には幸せな感覚を長く持てるようになるということです。
たとえ、その場では嫌な体験だったとしても、時間が過ぎればネタとして価値を持ったりします。
経験に金を使うときは、他人と一緒に行えることを選ぶほど幸福度は高くなる傾向があります。
2.新しいことに金を使う
幸福度が減る一番の原因は慣れです。
脳はすぐに新しい環境に順応し、決まったルーティンやくり返しが増えるほど幸せが損なわれてしまいます。
そのため、金を出すなら、できるだけ目新しい体験や物に支払うのが良いです。
といってもスカイダイビングやアフリカ旅行のような大きな話じゃなくて、いつもと違う石鹸を買うとか、新発売のお茶を買うとか、その程度でも十分に大丈夫です。
3.時間を買う
人間は時間に余裕があるほど幸福度が高くなるので、できるだけ手持ちの時間が長くなることに金を使うべきです。
これは、無駄に暇な時間を作れば良いということではなく、「自分は時間に余裕を持ってるな」と心から感じられることが大事です。
たとえばボランティア活動で人のために時間を使うのも余裕感が味わえるよい方法です。
本書では、特にテレビと通勤の時間を減らし、家族や友人と過ごす時間を持つことが強調されています。
うーん、日本の典型的サラリーマンとは真逆ということですね。
コロナをきっかけにもっと在宅勤務が増え、時間を有効に使い、残業が減ってもっと家族や友人と過ごせるようになれば良いと思います。
4.支払いは先に済ませておく
人間の脳は、基本的に「支払い」に苦痛をおぼえるらしいです(実際の脳の痛みを感じるエリアが反応します)。
そのため、支払いと苦痛を分離できるクレジットカードは、つい使いすぎてしまう傾向が高くなります。
逆に支払いを先に済ませておくと、脳は「無料になった!」と勘違いして幸福感がアップするようです。
また、お金を先に払っておくと、後払いよりも最終的な支出額が安くすむ傾向があるので一挙両得とのことです。
5.他人のためにお金を使う
ここで紹介した5つの授業のなかでも、もっとも効果が高いお金の使い方になります。
アダム グラント「GIVE & TAKE」にもあるとおり、他人のためにお金を使ったほうが、自分のために支払うよりも相当に幸福感が高くなります。
これは別に裕福な人に限ったことではなく、一般的な所得の人にも当てはまることです。
お金を使う前に、「幸せをお金で買う」5つの授業の中にあったかなと考えてみたらいいかもしれません。
本書には根拠となる実験やエピソードなどが豊富にあるので、さらに深く納得したい方は一度手に取ってみてください。