発酵食品はメンタルにも効くし、消化活動や心臓にも良いという記事を以前書いています。
で、今度は、2020年にフンボルト大学から「発酵食品で新型コロナに強くなるのでは?」という興味深い研究(ソース)が発表されています。
まず研究チームの問題意識は、
” COVID-19の死亡率には、それぞれの国とそれぞれの地域で大きな違いが存在する。
東アジア、中央ヨーロッパ、バルカン半島などの死亡率が非常に低い国は、発酵食品の摂取量が多いという特徴が共通している。”
ということからきています。
ご存じのように、日本をふくむアジア諸国は新型コロナの死亡率が低いんですが、それは発酵食品をたくさん食べてるからでは?と考えたわけです。
過去にヨーロッパ諸国で行われた研究でも、発酵食品は全体的な死亡率の低下と相関していて、ならば新型コロナでも同じ傾向があるのではないかと考えるのは自然です。
研究チームは、発酵食品の効果を確かめるために、欧州食品安全局(EFSA)が作ってる食品消費データベースを使い、
- 発酵させた野菜
- ピクルス
- マリネした野菜
- ヨーグルト
などをヨーロッパの各国がどれぐらい消費してるかをチェックし、これをそれぞれの国の新型コロナの死亡者数と比べたところ、
発酵野菜の消費量が1日1g日増えるごとに、新型の死亡リスクは35.4%減少する!
という数値が出たそうです。これはすごい数値ですね。
さらに、ここでは野菜ごとの死亡率の違いもチェックしてまして、アブラナ科の野菜(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなど)を、ほうれん草、キュウリ、レタス、トマトなどと比べています。その結果は、
キャベツとキュウリの消費量が国民平均で1日あたり1g増えるごとに、新型コロナの死亡リスクは11分の1に減少する
だったそうで、こちらも結構な数値が出てて驚きです。
ちなみに、発酵野菜が新型コロナに効く理由には諸説あるありますが、簡単にまとめると、
- 発酵野菜にふくまれる乳酸菌などが、Nrf2の強力な活性化因子として働く
- 活性化したNrf2がAT1R軸をブロックし、COVID-19がこの受容体に結合するのを防ぐ
- おかげで酸化ストレスが低下し、肺や内皮の損傷という新型コロナの怖い症状も減る
みたいな流れが推定されています。
Nrf2とは体内の酸化を防いだり、細胞を保護するのに役立つ転写因子(遺伝子の働きを制御するタンパク質)で、発酵食品にはNrf2の働きをアップさせる働きがあるということです。
さらに、このNrf2は炎症を抑制させる働きも明かになっていて(ソース)、 発酵食品はアンチエイジング 効果もすごいという感じです。
もっとも、今回の研究はヨーロッパ諸国が中心なので、納豆や豆腐、漬物といった日本独自の発酵食品でも同じ機能を持つのかはわかりませんが、普通に考えれば同じはずですね。
また、このデータでキャベツの成績が良いのは、中央ヨーロッパ諸国では発酵キャベツが定番メニューだからで、決してザワークラウトが最強ということではないです。
発酵食品が新型コロナに効くかも?というデータは初めてなので、今後ももっと研究が進むかと思います。
どちらにせよ、いいことばかりの発酵食品を食べない理由はなさそうです。