オーストラリアの研究者によれば味噌は体にいい!

味噌は日本文化に欠かせない食品ですが、それほど多くの研究が行われているわけではなく、「どこまで健康にいいの?」ということはまだよく分かってません。
味噌には塩分も多いし、その点で体に悪いのでは?とも思われますしね。

そこで、2021年オーストラリア大学から、「味噌はどこまで体にいいのか?」という問題を調べたレビューが出ているので参考になります(ソース)。

味噌と健康について要点をまとめると、

  • 腸内細菌の重要性は間違いないが、発酵食品がどのようにして健康上のメリットをもたらすのかはまだ不明。ただ最近では、発酵食品に含まれる乳酸菌が産みだす物質が、人間の免疫系にシグナルを送ることがわかってきた
  • 細菌だけでなく、発酵食品に含まれる食物繊維の存在も重要。例えばオリゴ糖は米や大豆を含む多くの食品に含まれ、スクロース、ラフィノース、スタキオースなどが腸内細菌のエサになってくれる
  • 味噌と健康の調査は日本の観察研究が多く、2017年の研究によれば、以下の傾向が認められている。
    • 納豆や味噌を中心とした発酵食品の摂取量が多い人ほど、死亡リスクは低い傾向がある
    • 塩分が多い味噌汁を飲んでも高血圧の発症には結びつかない可能性がある
    • 味噌汁をよく飲む人ほど胃食道逆流症の症状が軽い
  • 2019年の発酵大豆製品の健康効果に関するレビューでも、「味噌や納豆は栄養があるし、糖尿病を予防したり、抗酸化や抗炎症作用があったり、癌と高血圧のリスクも下げてくれる」という結果になっている

ということで、全体的には「やっぱ味噌は良い!」という結論になってます。

全体的にみれば観察研究が多いので、そこまで明確には言えない段階ですが、味噌が好きな人にはうれしい結果です。

現段階では麹や味噌の効果を人間で調べたラボ実験はなくて、今のところ動物実験がメインです。例えば、

  • マウスを使った研究では、味噌を食べさせた後で放射線を当てたところ、腸粘膜のダメージが減少した
  • 味噌を摂取したマウスは、味噌を含まない食事を与えたマウスと比較して、この腸のダメージが減った。また、長期間発酵させた味噌の方が効果は大きく、中でも180日の味噌の効果が最も大きかった
  • ラットに高塩分食と高塩分の味噌食を与えた実験では、味噌を摂取したラットは脳梗塞の発症が抑えられ、脳や腎臓の傷害も抑制された

といった報告がされています。

これが人間でも同じ効果が見込めるなら、すごいことだと思います。

ただ、この研究では味噌のリスクについても触れていて、

  • 発酵食品は一般に有用だが、好ましくない細菌のキャリアにもなる。例えば、マイコトキシン(真菌の毒素)、細菌の毒素などによる汚染はあり得る
  • カビ毒(アフラトキシン)は人間に対して発がん性を持ち、製造よりも前に畑や貯蔵庫で原材料を汚染する可能性がある
  • 韓国の発酵大豆ペーストであるメジュは、発酵プロセスでアフラトキシンを除去しないため、リスクとなる可能性がある
  • 日本の伝統的な発酵食品の安全性レビューでは、麹菌、味噌、醤油、日本酒からアフラトキシンは検出されなかった
  • 一部の発酵食品からはヒスタミン(アレルギーを引き起こす物質)が検出されやすいことが知られている。ただし、日本のスーパーマーケットで購入された8つの日本の味噌サンプルを調べた研究では、ヒスタミンが含まれているものはなかった

というわけで、汚染リスクの心配が目立ちますが、日本で作られた商品であれば、そこまで心配しなくても良いという感じです。

総合的に見れば、まだデータは多くないですが、やはり味噌は死亡率を下げてくれる健康食品と言えそうです。

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