新型コロナの陰謀論を耳にしたことがある人はいると思います。
- 新型コロナは生物兵器だ!
- 新型コロナのワクチンにはマイクロチップが!
などです。
私の知り合いもコロナの初期のころ、生物兵器だみたいなことを信じているかのような言動をしていました。
難しい問題ですが、2021年に「陰謀論を信じる人はどのような人なのか? そして陰謀論を信じるとどうなるのか?」という点を調べたデータ(ソース)が出ていて、参考になるかと思います。
これはカナダと米国の住民797人を対象にしていて、まずは全員に対して、
- COVIDは生物兵器である
- COVIDは人口過剰を管理するための手段である
といった典型的な陰謀論にどれぐらい賛成するかを調査しました。
その上で、みんなのメンタルの状態や考え方も調べ、さらに1ヶ月後に再調査を行ったそうです。
この手の調査としては割と短期間なのでどこまで変化を感知できるかは分からないですが、おもしろいテーマですね。
すべてのデータをまとめると、以下のような傾向が出てきました。
- 参加者の約50%が、新型コロナに関する陰謀論を少なくとも1つは信じていた
- 新型コロナの陰謀論を信じる人ほど、1ヶ月後にはさらなる不安に悩まされている傾向があった
-
陰謀論を支持する参加者は、自分や他人について否定的な信念を持ちやすかった(「私は愛されていない」や「他人はみんな攻撃的だ」などのような思いが強かった)
つまり、陰謀論を信じる人はネガティブな考え方を持つ傾向があり、さらにはメンタルの状態が悪化しちゃう可能性も高いという結果です。
この結果について研究チームによれば、
”COVID-19の流行により、陰謀論はますます広がりを見せている。
COVID-19によって引き起こされたメンタルヘルスの危機を受けて、陰謀説の増加がメンタルヘルスの低下につながっているのではないかと考えた。”
” 過去の研究によれば、陰謀論は、脅威的な状況における不確実性やコントロールの不能性に対処する方法として生まれることが多い。
しかし、今回の調査では、陰謀論を信じることで、その後に不安感が高まる傾向が確認された。”
とのことです。
もともと陰謀論は「今はちょっとやばい状況だ!」や「この状況をどうしていいかわからない!」という場面において、メンタルのバランスを取るために発生するものではないのかってことです。
ですが、今回は陰謀論を信じるとさらに不安感が高まるということで逆になっています。
さらに研究チームは、
” 他の研究では、陰謀論を信じる人ほど、マスクの着用、社会的距離の取り方、ワクチンの接種など、政府のガイドラインに従う可能性が低いとも報告されている。
これに加えて、今回の結果によれば、陰謀論は、それを信じている人にも悪影響を及ぼすことがわかった。”
ということで、陰謀論を信じてしまうと、科学的根拠に基づいたガイドラインに従えなくなるという悪影響があるわけです。
過去に「フェイクニュースを信じた相手を説得するのはほぼ不可能」という記事を書きましたが、陰謀論についても説得するのはかなり難しそうです。
今回の結果を見ると、陰謀論の基には自己や他人への不安と憤りがあるようなので、そういった人たちを敵視したり嘲笑するような態度は、相手の態度を硬くするだけで逆効果になってしまうかもしれません。