マインドフルネスは、自覚、気づき、集中、覚醒など表現できます。
反対語を見ると、単に思慮のないことだけではなく、注意散漫、ぼんやり、集中力欠如なども当てはまります。
マインドフルネスの効果については議論が分かれるところですが、2018年にでた「マインドフルネスで脳が変わった」という論文(ソース)が興味深いです。
「.b」プログラムを8週間受ける
これはイギリスのバンガー大学による実験で、16〜18歳の40人の学生が対象です。まずは全体を半分に分けて、
- 8週間のマインドフルネストレーニングを受ける
- 何もしない
という感じで過ごしてもらいました。
ここで使われたトレーニングは、「.b」(ドットビー)というもので、イギリスのマインドフルネス団体が子供の教育ように開発したプログラムです。
ざっくり言うと「人間の心は2種類ある」や「怒りと友達になろう」など、メンタル改善の基本を少しずつ学んでいくものです。
トレーニングは1回50分で8セッションになっていて、すべてが終わったあとには全員のストレス度、共感能力、幸福度などをチェックして、さらにはEEGで脳波を測るテストも行いました。
具体的には、
- 学生たちに大量の顔写真を見てもらう(20%は「幸せそうな顔」で、80%は「普通の顔」、残り20%は「悲しそうな顔」)
- 「幸せそうな顔」か「悲しそうな顔」が出てきたら、すぐに決められたボタンを押す
- その瞬間を脳波でチェックする
という感じです。
こういうテストを行ったのは、メンタルが沈みがちな人が「幸せそうな顔」や「悲しそうな顔」を見ると、そうでない人にくらべて、ERPsと呼ばれる脳の反応速度が少し鈍るからです。
ですから、この反応に変化が出ていれば「マインドフルネスで脳に変化がある」と言えるわけです。
マインドフルネスグループは感情の反応が速くなった
学生に起きた変化は、
- マインドフルネスグループは、何もしかなったグループに比べて共感能力に変化がなく、ストレスレベルも変わらなかった
- ただし、マインドフルネスグループは「主観的な幸福度」が上昇した
- 脳波のデータでは、マインドフルネスグループは「幸せそうな顔」や「悲しそうな顔」への素早い反応をキープし続けた
となっています。
ストレスなどは変わらないですが、脳の反応はひそかに変わってたようですね。
研究者によれば、
” 暫定的な結論だが、今回の結果は「マインドフルネスの練習」が社会的な刺激への注意を維持する可能性を示したと思われる。
マインドフルネスのトレーニングは、自分の感情に対して批判や判断をせずに好奇心を保ち続けるよううながすからだ。”
ということです。
一般的に、うつ状態の人は他人の感情への反応が鈍る傾向があって、ポジティブな感情にもネガティブな感情にも心が動かないようです。
すると、マインドフルネスグループが「幸せそうな顔」や「悲しそうな顔」への反応をキープし続けたことは、「学生のメンタルが強くなったと言えるのでは?」と研究者は考えてるわけです。
まだ推測の部分が多いのですが、マインドフルネスの効果に期待が持てそうな結論ではないかと思います。