「内臓脂肪を減らすには有酸素運動が効く」ということは良く知られていますが、「筋トレは効果がなさそう」というのが今までの風潮でした。
というのも、2012年のメタ分析(ソース)では、「筋トレをしても内臓脂肪は減らないのでは?」って結論になっているためです。
が、2021年に「本当に筋トレは内臓脂肪には無意味なのか?」という問題を調べ直したデータ(ソース)が出て、テヘラン大学などのチームが新たなメタ分析を行ってくれてます。
どうして新たにメタ分析をやり直したかと言うと、20121年のメタ分析に「データ選びが甘くないか?」という疑問が出てたからです。
なぜなら、かつてのメタ分析では、「カロリー制限の有無にかかわらず筋トレの効果をチェックしていた」という問題があったので、筋トレ自体の効果がわかりづらかったわけです。
結局は、内臓脂肪を減らすためにはカロリー制限が一番ですので。
研究者は過去の研究から34件を選択して、新たなメタ分析を実施しました。
そのデータの内訳は、
- 参加者は合計2285人
- 全体のうち、13件は「筋トレ+カロリー制限」と「カロリー制限のみ」の比較、22件は「筋トレ」と「カロリー制限なし」の比較をしていた
- 実験の期間は2カ月から24カ月
- カロリー制限を行った研究では、1日の摂取カロリーを250〜1000kcalぐらい減らしたものや、全員に1日800kcalの食事を続けさせたものもあった
- 筋トレの回数は週に2〜7日であったが、週に3回のトレーニングが圧倒的に多かった(34件中25件)
みたいになってます。
過去の研究に比べるとだいぶセレクションが厳密になっていて、より確からしい結論が出せてるのではないでしょうか。
そこで、分析の結果は、
- カロリー制限を行っていない場合、筋トレだけでも内臓脂肪は減ることがわかった その差は統計的に非常に有意であり、データのバラつきも低かった ただし、その効果量は小さめ
- サブ解析でも、肥満の人と標準体型の人、中高年の人のいずれにおいても、筋トレで内臓脂肪が減る効果が示された
- 筋トレ+カロリー制限をカロリー制限のみと比較した場合、内臓脂肪を減らす効果に目立った差はなかったが、有意ではない結果ではカロリー制限のみの方が有利だった
といった感じになっています。
全体的に見れば、あくまで効果は控えめながら、筋トレだけでもそれなりに内臓脂肪は減るという感じです。
ですが、「内臓脂肪を減らしたい!」と思ったら、「有酸素運動+カロリー制限」の組み合わせが一番なので、その点はご注意が必要です。
すでにカロリー制限をやってる人が、そこに筋トレを追加しても、内臓脂肪の減少スピードは増えることも減ることもないかと考えられます。
また、カロリーを制限をしていない状況では、筋トレよりも有酸素運動の方が内臓脂肪の減少に役立つはずです。
カロリー制限がなくとも筋トレだけで内臓脂肪量は減るものの、あくまで補助的な役割と言えそうです。
内臓脂肪が多いと心臓病リスクは増えるし、糖尿病にもかかりやすいし、いろんな癌の危険も高まりまし、死亡率が高くなるので、筋トレだけでもしておくに越したことはないですね。