MCTとは、「Medium Chain Triglyceride(ミディアム チェーン トリグリセリド)」の頭文字をとったもので、日本語では「中鎖脂肪酸」と呼ばれます。
中鎖脂肪酸(MCT)を多く含むオイルとしてはココナッツオイルやパームオイルが有名ですが、「MCTオイル」はこれらのオイルからMCTだけを精製して作った100%MCTのオイルのことを言います。
中鎖脂肪酸(MCT)は、分子量が長鎖脂肪酸の半分くらいと小さいのが特徴です。
そのため、分解がされやすく消化が速く、グルコースやアミノ酸と同じように門脈を通って直接肝臓に運ばれ、素早くエネルギー源として使われます。
その結果、体内に脂肪として蓄積されづらいので、ダイエットに効果的なオイルだと考えられています。
さらには血中のコレステロールなどにも良い影響があると言われていて、ケトジェニックダイエット(糖質制限ダイエット)などで注目を浴びています。
では、実際のところMCTオイルはコレステロールにどれくらい意味があるのか?という点を深掘りしたデータ(ソース)が出ていて参考になります。
これはMCTオイルに関する過去の7つの試験をメタ分析したもので、以下のような内容です。
- 364人分のデータをまとめて、MCTオイルが血中脂質にどんな影響があるのかを評価した(ダイエット効果については調べてない)
- メインのチェック項目は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪など
- 試験は少なくとも2週間行われ、MCTオイルと他の油を比較。7つの試験すべてで、中性脂肪と総コレステロールに関するデータを報告し、6つの試験でLDLコレステロールとHDLコレステロールに関するデータを報告していた
- 3つの試験は健康な人が対象で、残りは2型糖尿病、軽度から中等度のアルツハイマー病患者などが対象だった
- 7つの試験は「低リスク」または「若干の懸念がある」に分類された(つまり、データがゆがんで報告されてる可能性は低い)
ということで、メタ分析としては小規模ですが、MCTオイルが気になる人には貴重なデータだと思います。
結果をまとめると、
- MCTオイルは、中性脂肪を0.14mmol/L増加させたが、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールには影響を与えなかった
- サブグループ解析では、MCTオイルは不飽和脂肪酸に比べて総コレステロールとLDLコレステロールが増加し、長鎖脂肪酸に比べてLDLコレステロールをわずかに低下させた
となっています。
全体的に見てみると、血中コレステロールに関して言えば、MCTオイルは良くも悪くもないという印象です。
ちなみに、過去のメタ分析と比べてみると、
- 2018年のメタ分析(ソース)では、長鎖脂肪酸が多い食事と比べて、MCTが多い食事はHDLコレステロールを増加させ、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪には影響がなかった
- 2015年のメタ分析(ソース)では、MCTはLDLコレステロール、HDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪に影響を与えなかった
となってます。
それぞれ微妙な違いはありながらも、MCTを使ったからといって血中のコレステロールが目立って改善するようなことはなさそうです。